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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 27

これ以上ないくらいの孤独に。


眼が見えなくなった私には、シズムがどんな表情でソレを起動させたのかは分からない。
ただ、シズムがそう言った瞬間には既に彼から魔力が溢れていた。
「シズム…?」
私は心配になったのか無意識に声をかけていた。
もう彼が以前の彼ではなくなったような気がしたからだ。
「クーリャ?」
しかし、相も変わらず少し抜けた感じで彼は言葉を返す。
それを聞いてホッとしたのも束の間だった。

「眼を開けてごらん」

ゆっくりと眼を開ける。
久しぶりの光が網膜に焼き付く。
「見える…シズム、眼がっ!」
「うん、あとティアーオブクイーンも元に戻しておいた」
私の碧眼が甦る。
それはまぎれもなく奇跡に近い魔法だった。
「見事ね?それがワールドイズマインなのかしら?」
「ええ、未来を変える魔法です」
黒崎赤音の赤い瞳を初めて見る。
私の碧が霞むくらいの赤を見て、無意識に腕が震えた。
あれに私の眼が奪われたと思うと、ダブルマイスターと自分の力量差が分かってしまう。
しかし、この場にはダブルマイスターがもう一人いる。
「それは…奪っても私のものにしようかしら」
「お言葉ですが…そんな未来はありません」
「やってみないと分からないじゃない?」
赤の瞳が一層強くなる。
「いただくわね?」
と、黒崎赤音が赤い弾丸を放つと同時にシズムは姿を消した。
「あら?」
「確か…ティアーオブクイーンは目が届く範囲のみ効果を発揮できるんですよね?」
「正解。でもそんなの私の空間で許すとでも?」
赤い瞳を更に輝かせると、目の前の空間が歪んだ。
「超音波も起こせるんですか!?」
「絶対支配よ!…そこ…え?」
超音波の跳ね返りによる位置測定。
原始的かつもっとも有効な手段だからこそ黒崎赤音は戸惑いを覚えた。
姿を消すことが意味のないと知ったシズムは姿を現した。
シズムは黒崎赤音の真後ろにいた。
それはさほど問題ではない。
私と黒崎赤音の時間が一瞬止まったのは、シズムの片手にあったものを見たからだ。
そもそも、朝霧静夢という人物をあまり知らなかったからかもしれない。
彼が使える魔法は『ワールドイズマイン』だけだと思っていたからだ。
「ああああああああっ!」
シズムの片手には、黒い魔方陣が浮かび上がる。
そして次の瞬間には黒崎赤音の姿は消えた。
「ふぅ…うまくいった…」
「シズム?え…どうなったの?」
「ん?魔法を使ったけど?」
「魔法って…今のもワールドイズマイン?」
「ううん…今のは『ワールドエンド』」
「初耳ね?」
「うん。僕も使ったのは小さい頃ぶりだから」
「…ほとんどぶっつけ本番ね…どんな魔法なの?」
「ん…それは…ごめん、言いたくない」
「…そう…ま、敵はいなくなったのだから、行きましょ?」
広場から去ろうと踵を返すと、いきなり目の前に落雷が落ちてきた。
「あ、いたいた…やっと見つけた」
紫の雷は葉桜雅だった。
「ミヤビ!?」「雅!?」
「はいはい、悪いけど緊急事態なの。貴方達ちょっとついてきて」
ガシッと服を掴まれると、いきなり空まで運ばれた。
空は雷雲が立ち込めていた。



Chat Time 
「princess and princess1」

「ねぇ美空、クドリャフカのことなんだけど」
「珍しいわね?雅からその名前が出るなんて?」
「う…仕方ないじゃない。状況が状況だし…」
「まぁね…それで?」
「ティアーオブクイーンってどう思う?」
「私は…そろそろ覚醒してくれないかなって思ってる」
「その紅の?それってそうなの?」
「分からないけどね?雅だっておそらく覚醒するでしょ?」
「…お母さんのことを言ってるなら、分からないわよ。あんな瞳、見たことないもの」
「確かに…あー、しーくん大丈夫かなぁ」
「あのクドリャフカがついてるから大丈夫でしょ。ダブルマイスターとかに出会わない限り」
「へぇ…クーリャのこと信頼してるんだ?」
「うっさい!でも私たちの中で一番強かったのは確かでしょ?」
「まぁね?でもなー、心配だなぁ…」
「美空、アンタ…静夢のこと好きなの?」
「…うーん…雅は?」
「わ、私は別に!」
「うるさい、お前ら…ガールズトークをさせるために呼んだんじゃねぇんだぞ?紫娘、孤独迷子と白金娘を迎えに行ってこい」
「はい、なにかあったんですか?」
「あったといあえばあったが、予定通りだ。でも緊急ということで早く行け」
「分かりました…では行ってきます」
バチィ!!

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