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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 25

「さっきのだけじゃまだよく分からないけど…だいたいのわがままは思いのままそうね?」
「ええ、お姉さん…ダブルマイスターと戦って使うのは初めてなのだけど、どこまで通用するのかしらね」
残り4つの水球が動き出す。
右手をあげたクーリャの腕を中心として高速に回転し始める。
「ここからが本気なのね?」
高速回転していた水球から水のレーザービームが発射される。
「ツイスト」
更に速度と破壊力を増す。
それを待ち受ける黒崎さんはその攻撃を見据える。
「単純な攻撃…」
黒崎さんは向かってくるレーザーを一歩右に動いて回避する。
「そんなぬるいの?」
「誰の許しを得て、回避してるのかしら?」
「あら?」
ティアーオブクイーンの力を使う。
黒崎さんを通り過ぎたレーザーはいきなり軌道修正し、またも黒崎さんを『追尾』し始めた。
「厄介ねっ!」
黒崎さんはレーザーの追尾を目視すると、それを手のひらで受け止めた。
いや、正確には手のひらにある魔力の塊で防いでいる。
「なかなかの威力に、この追尾…大抵の魔法使いならこれでやられてるでしょうね?」
しかし、黒崎赤音は片手で長い髪を掻き分けながら言う。
「でも、私には物理攻撃ってあまり効かないからね?マスターオブマスターは貴女の攻撃も支配するわよ?」
「さすがダブルマイスターね?」
「誉めても何もないけど…教えてあげると私の範囲内なら、全て制御できるのよ」
黒崎赤音の絶対支配の能力はある空間内の完全制御。
それは他人の魔法にも干渉することができる。
他人の魔法を干渉するということは、他人の魔法を使い始めると同じことである。
いきなり自分の魔法を使われたらたまったものではない。
水のビームは黒崎赤音に届くことなく、その威力を失った。
「お姉さん、強いわね」
「ありがと」
「でも次はどうかな?」
「へぇ…見せてみなさい?」
4つの水球は1つになる。
それはクーリャの腕から離れ、クーリャの前で大きくなる。
「お姉さん、海水浴は好きかしら?」
「ええ?」
「じゃあ津波に気を付けてね?」
ピタリと水球は大きくなることを止める。
その水球からまるで爆発するかのようにおびただしい量の水が噴出する。
それはまるで津波かのように高い壁を作りながら黒崎さんへと迫っていた。
「物理攻撃は効かないわよ?意外と頭悪いのね?例えば津波に穴を空け
「誰の許しを得て、他人の魔法の言う通りになってるのかしら」
重ねたわがままは、干渉の拒否。
それは黒崎赤音の干渉を許さないものだった。
「あら?これは困ったわね」
余裕そうだが、既に彼女の絶対支配に及ばない魔法をクーリャは出した。
ニヤリとクーリャの口が緩む。
「私がちゃんとした魔法使いだったら、その津波相当の何かをぶつけて相殺とかもできるのでしょうけど…生憎そんな大技持ってないのよね…」
もはや猶予も無し。
津波は轟音を立て、黒崎さんを飲み込んだ。
「ふぅ、さ、シズム…多分空間支配は終わったから行くわよ?」
クーリャが先を急ぐ。
途端、ダブルマイスターに興味を失ったかのように僕に手を差し出した。
「あぁ…でも、黒崎さんは大丈夫かな…」
「さぁね?ほら…早く」
既に津波は広場を飲み込んだ。
クーリャの手を握り、走る。
「待って!」
しかし、駆け出したのは僕だけだった。
クーリャはピタリとも動かず、俯いている。
「クーリャ?」
「あれ…暗い…月が隠れたの?…それとも暗闇の魔法?」
「クーリャ…?」
もちろん月も隠れてないし、誰も暗闇の魔法なんて使ってない。
明るすぎる月明かりが逆に現実を濃く見せる。
「うそ…私、目…見えてない?」
目を開けたまま、クーリャは苦悶の表情をする。
その瞳はもう光っていない。
「シズム…?」
「クーリャ!ここだ、本当に目が見えてないのか!?」
思わず手をぎゅっと握るも、握り返してくるその反応は弱い。
クーリャは手を離すと僕の身体を手探りで触る。
肩から首へ、首から頭へと触り、最後に僕の頬を撫でた。
「うそ…目が見えない…」
たまらずに僕の頬を撫でるクーリャの手を握る。

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