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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 24

黒崎赤音はダブルマイスター、絶対支配(マスターオブマスター)であることを。
「朝霧くん、ごめんね?一つだけ紹介し忘れていたわ?私もダブルマイスターなの」
「どおりで…凄い魔法を使うと思いました」
この人に出会ってから、ピョンピョン記憶が飛んで仕方ない。
「ねぇ、魔法教会のお姉さん?ここの空間、支配してる?」
「ええ、クドリャフカさん?正解。もうこの空間は私のもの。だから無駄な抵抗はしないでね?」
「冗談」
クーリャの魔力が嬉しそうに弾ける。
「ダブルマイスターと戦えるチャンスなんて滅多にないのよ…」
クドリャフカ・ユーフォリアの魔法が音をたてて現れる。
とぷん、ちゃぷん、ぴちょん。
まるで遊んでるかのように、彼女の周りに現れた水球は6つ。
それらが彼女の周りで踊っていた。
重力という縛りにとらわれず、下から上へ、左から右へ、右から左へ。
自由自在に動き回る。
雅や美空とは違う、静かで柔らかい魔法だった。
「クドリャフカさん?抵抗はしないでね、と言ったのだけれど…聞こえなかったかしら?」
「聞こえました。バッチリと。その上で私は抵抗します」
「……………困った娘。三姫の中で一番厄介という評判は本当のようね?朝霧くん、下がっていてくれる?『姫』を相手にするなら私も本気でやるわ」
黒崎さんは頭のかんざしを取った。
その長い髪がサラリと広がる。
綺麗な人だと思っていたが、髪を下ろすことで更に綺麗になった気がする。
「綺麗だね、お姉さん」
「ありがと。貴女も可愛いわよ?」
「ありがとう…じゃあいくよ、お姉さん。『白金水の姫』の力、特とご覧なさい?」
彼女の周りにあった水球は宿主の気迫に答えるかのように、白く輝いた。
同時に2つの水球が黒崎さんに向かって突進する。
その速度はギリギリ目で追えるほどで、不規則に動いていた。
それが黒崎さんとクーリャのちょうど半分くらいの距離に差し掛かったとき、2の水球はその速度を落とさずに100の槍に分裂した。
切っ先はまっすぐ黒崎さんを捉えている。
100の槍は更に速度を増して、黒崎さんを貫かんとしている。
まばたきの一瞬先の黒崎さんは100の槍に貫かれている夢想をする。
それほどの劇的状況。
それほどの絶望。

―だが、それを支配せずとして、なにが『絶対支配』か。

100の槍は急速にスピードを落とし、完全に停止する。
するとその切っ先を黒崎さんからクーリャへと変え、更に100の槍はいつしか1000の槍へとなっていた。
槍は完全に支配された。
もはや主人の手から離れ、本来水であったことを忘れたかのように、鈍く光っている。
「この槍を貴女に止められるかしら?」
クーリャは答えない。
ただその瞳は強く緑色に輝いている。
「大丈夫、殺さないから。ただ、大怪我はすると思って?」
黒崎さんが腕をあげる。
すると1000の槍は一斉に駆けた。



episode 16
「tear of queen -キサキノナミダ-」



「誰の許しを得て、私を傷つけようとしてるのかしら?」

シャンと鈴が鳴ったかのようなつぶやきが聞こえた。
一斉に駆けた槍は、一瞬で崩壊する。
クーリャはその瞳を更に緑に染めていた。
「驚いた。貴女のその瞳。『ティアーオブクイーン』ね?緑なんて羨ましいわ?」
黒崎さんが微笑む。
「さすがに知ってるのね。そうよ、だから私は『姫』と呼ばれたのよ」
その碧眼は、夜にも関わらず発光していた。
「ティアーオブクイーンってなんですか?」
「んー…いろいろ便利な瞳のことよ。たまーにいるのよ、そんなレアな瞳を持つ女の子がね?そのほとんどが成人してから力を発揮させるのだけど、近年一人だけまさかの10歳で発現したものがいたとか……だったかしら…ところで貴女、何歳?」
「15よ」
「初めて見たわ」
「でしょうね。私も私しかいないと思ってるわ?」
ふっ、と微笑むクーリャ。

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