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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 21

「私は黒崎赤音(クロサキアカネ)。ここは…ようこそ魔法世界へ」
「魔法…世界…?」
聞き慣れない単語に首をかしげる。
「そう。知らないのね?貴方が今まで過ごしていた世界は現実世界というの。それに対してここは魔法世界。まぁ貴方のいた現実世界とほとんど変わらないわ?ただ、魔法使いという概念が既知になっているだけ」
違う世界。
僕は騙されてるんじゃないかと思った。
けど、嘘を言ってるように思えない。
それに今なら少し分かる。
大気の中の魔力が多い。
「分かりました。でも、どうして僕をここに?」
「それは…
「おーい、アカネー?孤独迷子のガキは目を覚ましたかー?」
なんて黒崎さんの声を遮るように小学生くらいの男の子の声がした。
ひょっこり現れたのは本当に小学生くらいの男の子だ。
「お…いるいる。やぁ、孤独迷子。気分はどうだ?」
「え、孤独迷子?」
「あぁ、お前のことだ朝霧静夢。気分はどうだ?」
「あ、はい…いいです」
「そっかそっか…いいことだ」
突然現れたの小学生は僕と話しがら黒崎さんのお尻を常になで回している。
黒崎さんも涼しい顔で、それを払いのけることもなく真顔である。
どういうことだろう。
黒崎さんの子供には見えない。
「えっと…黒崎さん?あの…その子、お尻を…」
「アカネは俺のもんだぞー?」
「ごめんね、朝霧くん。でも気にしないで。私も気にしてないから」
いや、気にしてないって言われても…。
 「それで、話はもどしますけど…僕はなんで魔法世界に?」
「それは俺から話そう」
今度はしゃがみこんで、まじまじと黒崎さんのスカートの中を見てるけど。
大丈夫かなこの子。
もう犯罪の匂いがするんだけど。
「手短に話す。孤独迷子、お前…魔法を使えるようになっただろ?あれだ…未来を変えるやつ」
「はい…今は使えないんですけど」
「あれね、危険だから、お前を拘束することにした」
「はい…?」
え、拘束って言った、この子?
「えっ…ちょ、え…?」
「おーおー、いい反応だ。まぁ今は使えないけど、次はいつ使えるか分からないからな」
「いや、危険って言われても…使わないし!!」
「誰がそんなの信じるかタコ。未来を変える魔法ってのは本来あっちゃいけねぇんだ。1秒後に世界が破滅したらどうするんだ」
む…言い返せない。
僕は未来を変える魔法を使う。
ただ、その変わった未来に対して責任は取れない。
「分かったら素直に拘束されてろ。既にお前はダブルマイスター。しかも要注意魔法使いだ。そんなのは放っておけないんだよ」
その子は初めて黒崎さんのスカートの中から、僕に視線を移した。
小学生とは言えない凄みを感じる。
「嫌ですよ…僕を現実世界に帰してください」
「分からねぇガキだな…。なら力ずくでやってみ?未来でも変えてみやがれ」
そんなの今はできない。
だから黒崎さんの背後にある出口に向かって走った。
「くっ…」
「アカネ」
「はい」
走る僕の目の前に黒崎さんが立ちはだかる。
「黒崎さん、どいてください」
「いいえ、それはできない相談なの。許してね?」
と言うと、いきなり僕を抱き締めた。
「ちょ…!?」
ここで僕の意識は途絶える。
正直、なにがなんだか分からなかった。
「ご苦労、アカネ」
「いえ、しかし…本当にこれでいいのですか?私には朝霧くんが危ない魔法使いになるとは思えませんが…」
「確かになぁ…ヘタレだしのぉ。ただコイツを利用しようとするやつはいる。このガキには悪いがな」
「そうですか…ではゴッド、朝霧くんは牢屋に入れておきます」
「あぁ。ちゃんと拘束しとけよ?それと…」
「はい?」
「そのパンツくれ」
「……セクハラも大概にしてください」
「えー、俺がルールなのにー?」


episode 14
「vampire -ヴァンパイア-」


記憶の混濁。
連続的な意識喪失は僕の記憶を曖昧にさせた。
あれ、なにが夢で、なにが現実だ?
しかし、すべて現実なのである。
黒崎赤音さんという綺麗なお姉さんにキスされたかと思ったら、いきなり知らない場所にいた。
しかもそれは魔法世界という、僕がいた世界とは違う世界らしい。
そして、なにやら生意気でスケベな小学生に拘束を命じられ、黒崎さんに抱き締められた。
で、今。
僕はしっかり牢屋らしいところに入れられ、さらに手足どころか身体全体を拘束され、僕に許されているのは首から上の自由だけだった。
この牢屋もよく分からない。
広くはないが、狭くもない。
しかし、出入口みたいなのが無い。
あるのは天井近くの横の壁にひとつ、申し訳程度の窓があるだけ。
そこからも特に光が溢れてるわけではなく、もはやこの空間の空気穴と言っても過言ではない。
なんだろう。虫以下な扱いを受けている気がする。
小学の時に僕が捕まえたバッタですら身体は自由だった。
まぁすぐ死んだけど。
アレじゃあ僕もすぐ死ぬ?
というか…トイレとかどうするんだコレ。
その…どうしようもないんだけど。
「すいませーん…」
とりあえず声を出してみる。
誰かに掛けた声はこの牢屋を反響し、あの小さい窓からどれくらい届いてくれるのだろう。
「すいませーん…あのー…誰かいませんかー?」
またしてもむなしく響くだけだった。
なんかもういろいろ諦めたくなる部屋である。
「すいませーん、誰かいませんかー?」
「うるっせぇ!」
怒られた。

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