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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 20

と、美空ねぇのいつも通りの柔らかい声が聞こえた。
そのあまりにも透き通った声に、その女子高生も面を食らったかのように、目を丸くしている。
「ふーん、ここまで酷いんだ。しーくん、辛かったね。よく頑張ったね?」
美空ねぇは僕を見て、柔らかい暖かい笑顔を向けた。
「ねぇ?私も嫌われる、って言ったよね?」
「はい…」
「私はね、世界を敵に回そうが、朝霧静夢を選ぶ」
なんて、強い言葉を皆に向けて言った。
「朝霧静夢は貴方たちに何をしたっていうの?菌?そんなの本当にあると思ってるの?」
周りに問い掛けるも返事はない。
「私はそういういじめとかが大嫌いなの」
また静かになる。
美空ねぇの言葉に圧倒されたのか、それとも図星をつかれたのか。
「これで少しでも罪の意識を感じてしまったなら、朝霧静夢に謝って。さ、行こうか、しーくん?こんな気持ち悪い場所は早く出よう?」
僕の手を握り、足早に学校を去る。
「あ、美空ねぇ…その…」
「いいから、しーくんは謝らなくていいから。私はただ私が許せなかったから怒っただけだもん!」
まさに、ぷんすか!といったところだろうか。
その後、ケーキバイキングに半ば強制に連れていかれ、あの身体にどれだけのケーキが入るのだろうというブラックホールっぷりを見せられて美空ねぇと別れた。



Chat Time 
「I'm angry!!」

「もう信じられない。なんであんなに人の嫌がることができるのかな?」
「う、うん…」
「周りの人も周りの人だよ…誰もしーくんの味方がいないなんて辛すぎるよ…」
「う、うん…」
「しーくん?しーくんにも少しは原因があるんだよ?それを責めるわけじゃないし、圧倒的に悪いのは周りの人達なんだけど、それは忘れないでね?」
「う、うん…」
「うん?やっぱり…元気ないね?」
「いや、驚いてる」
「?…なにに?」
「なにって…もうケーキ10個目だよ、美空ねぇ?」
「それが…?」
「あー…えーと、ごめん、それが普通なのかな?」
「え…普通10個くらい食べるよね…?」
「いや、僕は1個でお腹いっぱいなんだけど…」
「…………………………」
「美空ねぇ?」
「いーの、女の子が本気出したらこれくらいは余裕なの」
「へぇ…今度雅に聞いてみようかな…」
「あ、そういえば…雅、強くなりたいって私に言ってきた」
「……雅が?美空ねぇに?」
「うん、私も驚いた。あの娘、プライドの塊みたいなのにね?今回のことが悔しかったみたいよ?自分は何もできなかったって」
「いや、何もしてなかったわけじゃ…」
「だとしても、悔しかったんだって。まぁ見てあげるけど…私だって…」
「ん?」
「ううん、なんかまた腹立ってきちゃった…ケーキ取りに行こっ♪」
「うーん、もう女の子とケーキバイキングに来るのはやめよう…」



episode 13
「next stage  -ダイニマク-」


美空ねぇのあの騒動から1ヶ月。
まだまだ外は暑く、蝉は合唱を止めない。
あれをやかましいというのは少し可哀想だと思う。
蝉だって夏の一瞬に全力を出してるに違いない。
「はぁ…それにしても、相変わらずだな…」
そう。
あのアイドルっぽい人説教事件から1ヶ月経ったのだが、相変わらず僕への苛めは続いている。
件数的には減ったのかもしれない。
でも、何人か、本当に嬉々として僕を苛めているやつは、更にヒートアップしている。
僕が孤独なのはいつものことだ。
今更、仲良くされても正直困る。
だから今日も今日とて、苛めに耐え、一人で帰り道を歩く。
「もし?」
「ん?」
突然、肩を叩かれ振り返る。
そこにはなんというか美人さんがいた。
髪は長いが頭の赤いかんざしで纏められ、黒いスーツ姿に、赤い眼鏡はキラリと輝き、口許のルージュは赤く潤っているがいやらしくない。
タイトなスカートから伸びる足は黒いストッキングに包まれていて、赤いヒールは一歩の力強さを感じる。
どこかのカリスマ女性社長を思わせる容姿よりも、赤と黒のコントラストが印象に残った。
「朝霧静夢さんですか?」
「はい…え、どちら様ですか?」
「御迎えにあがりました」
というと、彼女は僕に顔を近づけいきなり唇を重ねた。
「んんっ…!?」
え、え、どゆこと?
慌てて唇を離すと、僕は既に知らないところにいた。
あまりの急展開に頭が付いていかない。
彼女はそんな僕を見ながら唇を舐めた。
「美味し…若々しくて、それなのに濃い…ん、いい魔法使いになりそうね?」
魔法使いという単語に警戒する。
といってもワールドイズマインが使えないから、何ができるわけじゃないのだけれども。
「貴女は…?ここはどこですか?」

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