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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 19

「あ、起きた?」
斜め上から雅の声がした。
ここは一度来たことがある。
雅の部屋だ。
「アンタ、寝すぎ。もう昼の14時よ?まぁ、久しぶりに魔力の魔法変換…しかもあんなのやったら仕方ないのかもしれないけど…私だってベッドで寝たいっつの」
起きていきなり嫌みを散々言われるのは目覚めとしてどうなのだろう。
いや、最悪だけど。
「目が覚めたのなら起きた、起きた!そして帰れ。私アンタの家知らないから、仕方なく寝かせてやったんだから」
「ちょ、ちょっと待って」
「なによ?」
状況はなんとなく分かったんだけど、急過ぎる。
「えっと…そうだな…まずは…
「起きなさい。寝起きのコーヒーくらいは用意してあげるから」
有無も言わさないぞ、コイツ。
しばらくするとコーヒーのいい香りが立ち込めた。
そしてようやく分かった。
ああ、元の日常に戻ったのだと。

それから雅に昨夜の出来事について話を聞いた。
美空ねぇのこと。
永久乃童子のこと。
そして僕のこと。
聞いてようやく脳内でフラッシュバックする。
そういえば、そんなことになってたなと。
まるで他人事のように。
未来を変える魔法・ワールドイズマイン。
僕はまた、魔法を使えるようになったのだ。
「で、なんでそんなの使えるの?」
「えーと、物心ついた時から使えてたからよく分からないんだ」
「ふーん…なんか、私の目標を超飛び級で達成させられてムカつくわね」
ジロリと睨む雅。
眠そうで目の下にクマがあり、そのせいで一層凄みが増しており、睨みだけで数人は感電死させられそうだ。
「いや、でも今は使えないみたいだ」
「え?」
「さっきから魔力が無い…というか、魔力を貯める器がないというか…カップの中にコーヒーが無いというかカップ自体がないみたいな」
「それってまた封印されたってこと?」
「どうだろう…分からないけど、いいや」
僕は基本、魔法は使いたくない人間だ。
「ま、アンタがいいならいいけど。ほら、もう私眠くて仕方ないから帰った帰った!」
半ば強引に追い出される。
「あ、雅…ありがとう。おかげでゆっくり眠れた」
「はいはい、あ…あと美空が近々アンタに会いに行くって言ってたわ…それじゃ、おやすみ」
「おやすみ」
雅の部屋から追い出されるように出る。
帰り道、昨日の夜のこと思い出す。
どうして僕は魔法を使えるようになり、また使えなくなったのだろう…。
家に着き、横になってもその答えは出なかった。



そして日常に戻るということは、また僕はいじめられる。
それにしても、本当によく飽きないと感心するものだ。
「くすくす…」
教室中から薄ら笑いが聞こえると思ったら、僕の鞄が水びだしになっていた。
中に入っていた教科書もパァだ。
そしてノートはなくなっている。
これは今まで割りと何回もあったが、それでも赤点を取らない僕を褒めて欲しいものだ。

放課後ー
「やばーい」
「え、誰なの?うちの学校じゃないよね?」
「ちげーよ、てか大学生?いやモデルかアイドル?」
「正門前に?もしかして俺待ち?」
「アンタじゃないわよっ!いいなー、あの髪とスタイル…」
「にしてもあの目の色はなんなのよ!」
なにか学校中が騒がしい。
そして、それはなんとなく分かってしまった。
帰ろうと正門に行く。
何故か列が出来ている。
それ松の湯ただいま銭湯中ヤニヤ顔で浮かれている列。
それに対してもう一方は撃沈した様子の列。
驚くべきはその全てが男性だけではないということ。
勇気あるなー、この人達。
こういうのには関わらないのが一番良い。
申し訳無いが、ここは気付かれないように去ってしまおう。
「あ!しーくん!!おーい!!」
と、僕の計画を崩すかのこどく、美空ねぇの快活な声が響き渡った。
そして同時に全ての人が殺気混じりに美空ねぇが声を掛けた人を睨む。可哀想に。
僕だった。
紛れもなく僕だった。
「え…あの人ってアレでしょ?」
「うん…」
しかし、皆が僕だと分かった途端、静かになる。
その中に響く美空ねぇの声が逆に空しい。
「しーくん!もー、待ちくたびれたよー」
「うん、でもどうしてここに?」
「だってデートするって約束したじゃん?」
周りがザワッとする。
殺気が増すのが分かった。
「あーと…とりあえず離れようか…」
と、ここを離れようとすると、
「あのー…」
ある女子高生が美空ねぇに控えめに声を掛けた。
「ん?」
「そいつから離れた方がいいですよ?そいつといると変な菌が移るって有名ですし」
やめろ。
「なんか…クラス?というか学校から浮いてるし」
やめろ。もうやめてくれ。
美空ねぇの前でそれを言われるのは…辛い。
「そいつと一緒にいると、貴女も嫌われますよ?」
「いいよ?」

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