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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 14

よく思い出せない?
美空ねぇと初めて会った…あの孤児院の名前を僕はすっかり忘れていたのだ。
「覚えて…ない…」
「そうか……じゃあ、もう朝霧さんに聞くことはない。…魔力をもらおうか」
永久乃童子はティンクに近寄り、『3つのカード』の1つを指さした。
「ティンク?これにしたらどうかな?」
「…ピーターガイウナラ、ソウスル♪」
2人はケタケタと笑いながら選んだカードをゆっくりと僕に見せた。
そのカードには『八裂鬼』という文字が書かれていた。
「ヤツザキ、ヤツザキ♪」
いつの間にかティンクの両手には出刃包丁が握られていた。
「くす…ティンク、今日は楽しんでいいよ。もはや獲物は逃げられない」
「ちく…しょおっ…!!」
「ケケケケケ!……マズハ…ヒトーツ…ッ!?」
ティンクが振り上げた出刃包丁はまっすぐに俺の足を…………切断しなかった。
ティンクは紫の雷と蒼の炎に吹っ飛ばされていた。
「静夢っ!」
「しーくんっ…足がっ…!」
「雅……美空ねぇ……?」
「ほう…三姫のうち二姫とお知り合いとはねぇ?朝霧さんもなかなか隅に置けないね…?」
そんなことはどうでもいい。
しかし、この2人を僕は巻き込んでしまった。
2人は……ダブルマイスターには…勝てない。
「しーくん、さては私がダブルマイスターには勝てないーって思ってるでしょ?」
「え……だって…」
はぁ、と大きく美空ねぇは溜め息をした。
「雅と一緒にしないで欲しいわね?」
「ちょっと…それどういうことよっ…!?」
雅が食ってかかった瞬間、美空ねぇは雅の胸ぐらを掴んだ。
「…雅?しーくんを連れて逃げて」
「はぁ…なんでアンタの言うことなんか!」
「逃げなさい。貴女達がいると足手まといになるわ?」
美空ねぇの瞳が紅く変わった。
「頼むわよ、雅……しーくんを死なせないでね?お願いね?」
クシャッと美空ねぇは雅の頭を撫でた。
「う……うっさい!ほら、静夢っ、逃げるよっ。肩貸すから!」
「えぇっ…み、美空ねぇ…大丈夫なのかっ…!?」
「誰だと思ってるの♪待っててね、しーくん♪」
僕は美空ねぇの背中を背にただひたすらに逃げた。
肩を貸してくれた雅は悔しそうに前を向いていたから、後ろを振り返るようなことはできなかったけれど。
後ろで蒼い閃光が放たれていたのは分かった。
僕はまた逃げることしか出来なかったのだった。

「で?どうするつもりだい?蒼と紅の姫(ブルー・アンド・クリムゾン)?」
「その呼び方はしないで欲しいんですけど?」
「その若さで将来はダブルマイスターの一員と噂され、前評判で既に二つ名も付いている。その才能は羨ましいよ…ただ…僕に挑むのは早すぎたんじゃないかな?」
「やってみなきゃ分からないじゃない?ピーターパンドラボックスがどんな魔法を使うかは『知っているわ』?」

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