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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 10

「有無心(アルナシココロ)、10歳で、えーと…『拒絶の天才』」
「へぇ、心ちゃんは10歳かぁ…お兄さんとお友達にならない?」
「『嫌』」
キッパリと『拒絶』された。
「心はね、ここに来た人を全員殺さなきゃいけないの」
「どうして?」
「そうしなさいって言われたから……」
「誰に?」
「……才気さんに言われたの」
どうして無色くんは、こんな小さな女の子に、そんなことを命令するの?
みんなが語る無色くんは、私の知っている無色くんではない。
「やめて…何も知らない…無色くんを…もう酷い人にしないでっ!」
「死神ちゃんっ!」
錯乱した私を色筆くんがなだめる。
「死神ちゃん、先行きな…」
「え………」
それは、有無心と一騎打ちをするということ。
「い、色筆くん…ダメ…」
「いいから……少しはカッコいいところ見せてーだけだから」
「さっきから聞いてますが……というか行かせません♪」
有無心が立ちふさがる。
その小さな体からは想像できないほどの高く厚い壁を感じる。
「はっ!いや、無理だよ心ちゃん…たった今!『死神ちゃんがこのフロアを通過することが必然になった』。『この必然は覆すことはできなく、また消すこともできない』。『特に有無心はこの必然と死神ちゃんに干渉できない』!」
『必然』という言霊に、私は守られた。
こんなにも頼もしい存在だったことを、いつも感心させられる。
「『嫌』です」
パリンッと『必然』を『拒絶』されるが、すぐに『必然』で返す。
「早く行け、死神ちゃん!」
「ありがとう、色筆くん……」
「お礼にキスでもしてくれっ」
「………………考えておきます…」
「さすがっ…」
「『嫌』『嫌』、ここを通り抜けるのは…『だめぇぇ!』」
叫ぶ有無心の隣を通過する。
「ごめんなさい…もう私がここを通過するのは『必然』なの…」
駆ける。
有無心の『拒絶』で、『必然』の壁をボロボロにしながらもこのフロアを通過した。


「通しちゃった………」
ポツリ、心ちゃんは呟いた。
その後に大量の涙を流し始めた。
「お…ぅ?」
さすがに泣かせたのは気がひけるが仕方ない。
こっちだってただ『必然』を重ねただけ。
根っこから『拒絶』されていたら死神ちゃんは通過できてなかった。
「通しちゃったぁぁぁ!」
ライオンが吠える。
「怒られるっ、怒られるのは『嫌っ』、痛いのは『嫌っ』」
子供の地団駄がこんなにも恐ろしく感じたことはなかった。
「…許さないんだ……」
そして俺をターゲットにした。
「『いっ』」
「『有無心は喋れない』」
「……!」
首を横に振ろうとした心ちゃんに対して俺は…
「『有無心は首を振れない』」
「……!」
「どうせすぐ破られるんだろうけどな…」

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