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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 9

さすがに可哀想なので、言葉だけを許すことにした。
「おねがいー……おしっこー…」
悲しい叫びが背後に続く。
非常に心配だがこちらも構ってる暇は無く、次の部屋に辿り着いた。
「…霧…?」
その部屋は、靄がかかったように白い霧で溢れていた。
最初は火事による白煙と見間違えるほどの視界の悪さだった。
「…ここは…大変なところに出たッスね…」
「めんどくせぇ…『霧よ消え
「イレイズ…」
「ちょっ…俺がやりたかったのに!」
私の専売特許を奪わないで欲しい。
「………!!」
霧が晴れると見えてきたのは、小さな小学生ほどの女の子だった。
その女の子はおびただしい量の血の海の真ん中で、目隠しをした状態で立っていた。
そして目隠しを外し、閉じていた目をゆっくり開け…
「お客さんだァ♪」
と、まるでお菓子を与えられたかのように、壊れた笑顔を私たちに見せた。
その笑顔で私たちは察する。
今まで逢ってきた『天才』の中で…一番ヤバい。
「『消えろ』」
色筆くんが間髪を入れずに唱える。
しかし残酷にも。
彼女は消えなかった。
「『死ね』、『消えろ』!」
「鞍馬くん、逃げてっ…」
ポニーテール用のゴムで髪を結ぶ。
「えっ……」
鞍馬くんが動揺するのも仕方ない。
しかし、もはや鞍馬くんは既に足手まといになる。
色筆くんが時間を稼いでる今しかない。
「私に消されたくなかったら、早く逃げてっ…!」
「ぐっ…はい…」
鞍馬くんは来た道を戻った。
もう、余裕が無い。
「色筆くんっ!」
「おうっ!せーのっ!」
「『消えろ』」「『消えろ』」
2つの言霊が女の子を貫く。
「………『嫌』」
貫いた言霊は、あっさりと塵になった。
「ちっ…またか…死神ちゃん、頼むぜ!『俺は消えないっ』」
久しぶりの感覚。
何もかも、どうでもよく。
何もかも、みんな消えればいい。
「………『消えなさい』」
女の子の周りに円のように広がっていた血が、端から消えていく。
その円は徐々に直径を小さくしていき、女の子の足を消し始めた。
足が消え、膝が消え、腰が消え、腹が消え、手が消え、肘が消え、胸が消え、喉が消える。
そこまで消えた時、女の子はニタァと微笑んだ。
頭だけが宙に浮かんでいる状態で、微笑む顔は不気味という言葉がなにより似合った。
「…『嫌っ』」
そして女の子の言霊が時を戻すように女の子の体を戻していく。
「びっくり、そんなこともできるんだね?でも、心のほうが…強いの」
自分のことを心と呼ぶ女の子は、まるで桁違いの強さだった。
「色筆くん」
「なんじゃ」
「マズい…よね」
「ん…心ちゃんかな、自己紹介してくれるかな?」
女の子はゆっくりとおじぎをした。

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