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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 5

彼女が小走りに迫ってくる。
それに合わせて、鞍馬くんが能力を発揮させ、向日葵葵は転ぶように地に倒れ、『重力』に押さえつけられた。
「な…に……これ…!」
「言いましたよね?抵抗するなら容赦はしないと」
「す…げー。おねーさんがやってんの?これ」
「いいえ。彼です…。質問に答えてくれたら解除してあげても構いません…」
気になる点は1つ。
さっき彼女が言っていた、あの人という人物。
「なぁに?」
「あの人、とは誰ですか?」
「ふふ…もしかしておねーさん、死神っていう名前?」
「そうですが…何か?」
「やっぱりそっかー。おねーさんには見つかっちゃいけないって言われてるの忘れちゃってたー」
先程から聞いていれば、彼女に情報を与えている人物が見え隠れしている。
「…誰に言われましたか?」
「才気無色」
「え……」
ドクン、と血が逆流するような音がした。
聞き間違いではない。
彼女は今確かに
サイキムショク
と言った。
私の様子が変と気づいた鞍馬くんから声を掛けられるが、生返事しかできない。
私の凍りきっていた心が、今や沸騰している。
見つけた。
やっと彼の居場所を見つけた。
「死神ちゃんには出会わないように、って言われてたんだけどねー?」
「彼は…今どこに…?」
「んー…私を見逃してくれるなら教えてあげるー」
「分かりました…」
「所長っ…!何言ってんすか…!」
鞍馬くんが私を止める。
それはそうだ。
今の私は冷静にいられない。
私は彼女を押さえている鞍馬くんの『重力』を消した。
「ちょ…所長っ…!」
「喧嘩?お…おねーさん、本当?私に逃げちゃうよ?」
「その前に…彼の居場所を教えてください…」
「仕方ないなー…教えられるのは『天園』という名前だけ」
「…アマゾノ…?」
「そう!天ぞ……ひゃ…!!」
彼女の様子が激変する。
その赤い目は私でもなく鞍馬くんでもなく、私達の後ろに向けられていた。
「やっふー…葵ちん♪」
その声の主は、ただ今ランニング中ですと言わんばかりの格好で、私達の後ろに現れた。
「やっと見ちけた♪帰れってさ♪今までどこにいたの?」
気さくに話かける彼女とは逆に、向日葵葵は怯えている。
「……誰ですか?」
「ん?私?葵ちんの友達だよ♪ねー、葵ちん♪」
「は、はい……お友達、です……」
怪しい。
先程まで調子が良い話し方だった向日葵葵が今では怯えて仕方ない。
そして突然現れた彼女も、この状況に何も疑問を抱いていない。
「さ…帰るよ、葵ちん♪」
スタスタと向日葵葵に近寄る彼女。
「ちょ…ちょっと待ってください?今、立て込んでるっすから!所長もほら…!天園について聞かないと!」
そして、鞍馬くんがトリガーを引いた。
「あま……ぞの……?」

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