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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 24

「しつこいわ…『偶然、必然くんは息を吹き返すことなく、そして君は天才ではなくなる』」


この『深淵』に入って10分。
ツバキの命と俺の『天才』が1人の『天才』によって失われたのだった。
「…………容易いな。こうも容易いのか。一応君達はあの偽乱造から恐れられていた二人なのだ。しかし…こうもあっさりとは思わなかったわ」
「ふっ…はははっ…」
笑いが止まらない。
こうも上手くいくなんてそうそう無い。
「何を…笑っている?」
さすがに疑問に思ったのか、『偶然』が首をかしげる。
「いやいや、なんてことはねぇさ…。どうにもこうにも完敗だ。白旗があるならもう振りまくっている。ツバキが死んで、俺もこの有り様……最悪だよ」
それでも気になるのか、『偶然』は目を細め俺を睨みつけている。
「……不愉快だ」
「なら『偶然』に俺を殺せばいいだろう?早く殺せよ。こんなに絶体絶命な状況なんて作り出せないぜ?」
「言われずとも…『偶ぜっ…!?」
バンッ!!
勢いよく、『深淵』の扉は開かれた。
「はぁ…はぁ……急に呼ばれた感じがしたから来たけど……酷い状況ね、無色くん」
「いいタイミングだよ死神ちゃん、ヒーローみたい。さ…やっつけちゃってよ…俺が与えた力で」



私は鞍馬くんとちょうど天園を出るところだった。
トクン、と胸に何かを感じ、無色くんに呼ばれている気がした。
あとは鞍馬くんを置いてすぐに奥へ奥へと走り続けた。
そして『深淵』という名のドアを開けると、無色くんと倒れている色筆くんと偽乱造、そして裸の女性がいた。
あぁ…なるほど、このために呼ばれたのか。
瞬時に理解する。
倒すべき敵と守るべき人を。
ゆっくりと髪を結ぶ。
せっかく好きな人の前なのだから、一番お気に入りのシュシュを選ぶ。
「君は…誰だ…?」
「私は死神。生神死神。貴女は…そう…『偶然』ね。名前も偽天神なんて…どちらの神が強いのかって話か……」
オーケー。髪は結んだ。
これで私は本気モード。
「死神とな…面白い名前…。そして『対等』とはそういう関係なの…?でも残念…『貴女は偶然、好きな人の前で死ぬ』」
忍び寄る『偶然』による死の気配。

だけど…
私には無色くんがくれた力がある。

「『私は奇跡的に死なない』」
「なにっ…!?…奇跡…だと…?」
そう。最後の最後。無色くんが願ったのは色筆くんが生き返ることじゃなかった。
最初の色筆くんを生き返らせるという願いはフェイク(こういうところが無色くんは怖い)。
その次の願いは、私に力を与えること。偽天神はまんまと無色くんに騙され、色筆くんの生還を『偶然』でキャンセルしたわけだけど、空振りにしか過ぎなかったのだ。

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