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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 23

チェックメイト。
確実にキングを詰んだ。
「ほぅ…凄いね。『必然』における弱点の防御か。そう……君の『必然』は素晴らしい」
「さてと…じゃあサイキが起きる前に…」
「だけど残念だ……君にとって、私はどうしようもなく天敵だ」
そう、詰んだと思われたら詰まれていた。
いや、この盤面に俺の勝ちはそもそもなかったのだ。

「『私は偶然にも君の必然を解除した』」

彼女は、俺の正反対の能力だった。
「……『偶然』?」
「そ…『偶然』よ『必然』さん?」
そう…『偶然』。俺が…『必然の天才』が一番欲しいと願った能力を彼女が持っていた。
「私は『偶然の天才』。偽乱造によって『偶然』に魂を持った人形……彼からはこう呼ばれていたわね……偽天神(イツワリテガミ)…彼の姓を名乗るなんて嫌なのだけどね」
偽乱造から『偶然』に命を吹き込まれた人形。そしてその人形に『偶然』に天才能力が開花した。何もかも、その存在すら『偶然』である『偶然の天才』。
「テガミちゃんか…いい名前だ。憎たらしいほどに、いい能力だな」
俺は知っている。
『偶然』という能力がどれだけ素晴らしい能力なのかを知っている。
人は『必然』より『偶然』というものに惹かれる。
野球で言うなれば9回ウラのツーアウトのフルカウント。
0対3で点差は3でこちらが負けている状態。だが満塁。
さて、ここでピンチと捉えるかチャンスと捉えるかは人次第である。
だが、ほとんどの人はここで起きる『偶然』の結果に期待するだろう。それは奇跡と言ってもいい。
結果はスリーアウトでゲームセットよりサヨナラ満塁ホームランのほうが、人の気持ちに強い印象を与える。
よって人はより『偶然』を求めるものだ。
「さてと…『対等』も『偶然』に倒れているし、相手は『偶然』にも『必然』だ……容易い」
「ちっ…俺が負けることは『必然』…か。ただし、最後に呪いを掛けてやるよ」
「呪い?」
力いっぱいに叫んだ。
「『なにがあろうと、俺らが勝つのは必然だ!!』」



「『なにがあろうと、俺らが勝つのは必然だ!!』」
というツバキの叫びで意識を取り戻した。
どうやら気を失っていたらしい。
まだ頭が追いついていない部分もあるが、ようやく周りが見えてきた。
そして隣で膝から倒れるツバキを見た。
「ツバキっ!!」
倒れたツバキに駆け寄る。
心臓は既に鼓動をやめていた。
「ツバキっ…ツバキっ…!!!!」
「『偶然…心臓が止まったのかな?』」
と、水槽に入っていた女が言った。
そして全ての情報を理解する。
あいつが何なのか。
『対等』であるが故に、あの女が何をしたのかを理解する。
「そういうことかよ…『ツバキは偶然、息を吹き返す』」
「さすがだね…でも『偶然にその願いは叶わない』」
「だとしても『偶然願いは叶う』」

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