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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 25

『偶然』の能力は『天才』を消すことに関しては良いのだが、『天才』を創ることに関しては向かないのである。
だってもし『偶然』に自分より強い『天才』を作ってしまったら?
そう…例えば『偶然』を凌駕するほどの希少性……『奇跡』とか。
「私は『奇跡の天才』です。『偶然』では死者は蘇らないかもしれないけど、『奇跡なら蘇らせることができます』」
「んぁ…?」
とトボケた顔をして色筆くんが生き返った。
「ツバキっ…!!」
「うわっ、抱きつくなサイキっ、きめぇ!」
今なら、私はなんでもできる気がする。
『消去』の時とは違う世界がそこにあった。
違う『天才』を体験する……これが無色くんの見ている世界。
「…っ……幾多の『偶然』を重ねれば『奇跡』に匹敵できるのか…。しかしな、もう私はこの世に『偶然』生まれた時から後戻りはできないの…だから、『偶然死ねっ!』」

貴女だけじゃない。
私だって、もう後戻りできない過去をたくさん持っている。
だからこそ私は未来を掴むために、色筆くんと無色くんが願った未来を、私が『奇跡』として実現させる。


「『私は…奇跡的に死にません…そして貴女は奇跡的に消えます…………イレイズ』」
偽天神は跡形も無く、最初からいなかったかのように、その場から消えた。
そして私達は、割とボロボロの状態で生神天才事務所に帰った。

「え…聞いてなかったの死神ちゃん?」
と、何故突然いなくなったのかという問いに無色くんは答えた。
「…聞いてなかったって…誰に?」
「神子さん」
「お母さん?…何も聞いてないけど…何も聞いてないから詳しく完璧に何もかも洗いざらい教えてくれる、無色くん」
「死神ちゃん、怖くなったね…」
お母さん、生神神子は『発見の天才』である。
その能力でもちろんのこと偽乱造の企てを『発見』し、その解決方法すら『発見』。
それは無色くんが失踪すること。
偽乱造は才気無色に怯えていた。『対等の天才』は本来バランスブレイカー…つまり『天才』としての均衡を唯一崩す希少能力である。
その能力を持っている才気無色を仲間にさえすれど、敵ならば殺すはずだったらしい。
そこでお母さんは唯一の剣をあえて隠したのだ。
無色くんを逃がすためと、最後の最後に切っ先を偽乱造に向けるためである。
「そんなこと…知らなかった…」
「神子さん……死神ちゃんにもちゃんと教える約束してたんだけどな…」
「後で叱っておきます…」
無色くんがいなくなった原因を聞いてホッとした。
私の前からいなくなったのは、どうしてか分からなかった。もしかしたら原因は私にあるんじゃないかとも思った。
でもそんなことはなくて、戻ってきた無色くんは全然変わらなくて、変わったのはお互いの『天才』だけ。
ようやく、前のように楽しい日常が帰ってくる。

「生神天才事務所に新入社員が入りました…」

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