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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 22

分かったことは水槽が突然割れ、彼女が出てきたこと。
そしておびただしい量の水が割れた水槽から溢れると、俺とサイキは壁に打ち付けられたこと。
そして最後。
部屋に入ってからジャスト30秒。
偽乱造は彼女にゆっくりと抱き締められると、体を大きく震わせたうちに死んでしまったのだった。
「いっつ…サイキっ…大丈夫か?」
「…………………」
「サイキっ!」
サイキから返事がない。
死ぬほどの衝撃ではないはずだから、脳しんとうだろうか。
「サイっ…つっ…!」
お次はまるで超音波のような怪音が鳴り響いた。
慌てて耳を塞ぎ、彼女のほうを見た。
怪音は高くなったり低くなったりし、何かを調節しているかのようだった。
「………………あ…ぁ…ううん…なるほど、これが喋るということか…容易い。聞こえるか?そこの人間」
「………お前…誰だよ?」
「知らん。そこのランゾーという人間に創られた人間だ」
「創られた…人間…?」
偽乱造は人形だけではなく、人間さえも『創造』したというのだろうか。
「ぁ…あー…なに、人形を『創り』、そこに新しい命を『創る』。…だったか?」
俺は驚いて偽乱造を見る。
今、偽乱造の声が聞こえた。
しかし、偽乱造は間違い無く死んでいて、その声は彼女から発せられたものだった。
声真似、というレベルを通り越し、本物と言われても信じてしまうほど似ていた。
「うぅん…やればできるものだな…容易い。まぁ…面倒だから普段の声でいいか……」
彼女はいったいなんなのだろう?敵なのか?それとも別の何かなのか?
「残念だが、間違い無く私は君たちの敵だ」
「なっ…!?」
俺の心を読んだのか、彼女はそう言った。
「心を読めるのか?なんてお決まりの台詞はやめてくれよ?」
彼女がニヤリと笑う。
「君が……『必然』か。なるほど…で、そっちに転がってるのが『対等』か…。『必然』ねぇ………ふん、容易い」
「なんだと?」
「『必然』なんて当たり前よ。この世の中に偶然と必然、どちらが多いと聞かれたら、君はなんて答える?」
「それは……『必然』だ」
「そう。『必然』なんて当たり前なのよ。赤信号で進めば事故になる。物を買えばお金が減る。この世はね『必然』という当たり前で満ちているのよ……だからこそ『必然』はあまりにも普通なのよ。私から見ればね?」
俺の根本から否定される。
俺が『天才』になってから今までの全てが否定される。
ダメだ…せっかく収まったリミッターが外れそうだ。
しかも、相手は裸の女性。
……グチャグチャにしたくなってくる。
「いやらしいこと考えてるね。まぁいいよ。そんなわけで『必然』なんで大したことないのよ」
「『動くなっ!!』」
俺の『必然』が彼女を縛る。
「ふん…容易い。残念だけど、私は動けます」
あっさりと『必然』が解除される。
「残念。『あんたはもう必然を解除できない』」

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