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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 20

悲しいけど、もう私も普通の女の子になったんだ。
少しくらい楽をさせてもらおう。
「……所長」
「うん?」
「あの人が……」
「うん、才気無色。『対等の天才』」
「なるほど……さすがにあれには勝てねーや」
鞍馬くんは落胆する。
その意味が分かったのは、もう少し先のお話だった。



「手を出さないんだな」
「美しかったからな。そこまで私も野暮じゃない。最近の若い子は空気を読むらしいじゃないか…なぁナイトメア君?」
「はい。その通りです」
「しかし…『必然』と『対等』が揃う姿はさすがと言うべきか……美しいな。壊したくなる」
破壊は最高の創造、とポツリと呟いた偽乱造はクルリと背中を見せた。
「ナイトメア君…あとは任せた。私はアレの作成を続ける。君は最期までこの役を演じなさい。なかなか楽しめた玩具だった。さらばだ」
「はい……」
「逃がすかよっ」
ツバキが吠える。
「『動くなっ』」
言霊が飛び、偽乱造は停止した。
「む……なるほどこれが『必然』か」
フッと笑い、ツバキの『天才』を身を持って体感していた。
わずかだが困惑する。
反撃も打消もせず、ただただ喰らった?
しかし、この機を逃さない。
偽乱造にとっての最悪は……
「『全員の天才がな…』…ふぐっ…!!!!」
慌てて口を塞ぐ。
ツバキと『最悪』が首をかしげる。そして偽乱造だけが、その場で鼻で笑った。
偽乱造にとっての『最悪』は『自分以外の天才が無くなること』。
自分の死なんで最悪じゃない。自分の天才を失うなんて最悪じゃない。
彼はただ、彼にとっての興味対象…『天才』がいなくなることが『最悪』だった。
「我が身、我が能力など…最早興味などない。君達天才がいればそれだけで後百万年も生きれるな…」
しかし、偽乱造さえ死ねばこの物語は終わるはず。
ありったけの『必然』を込める。
「『死ねっ!!』」

その瞬間、偽乱造は事切れたように膝から倒れ、絶命した。

あまりのあっけなさに警戒をする。
しかし、『最悪』は慌てふためき、偽乱造の死を確認すると追うように自害。
晴れて、この物語はハッピーエンド。
死神ちゃんのところに帰らなきゃいけないし、久しぶりに安らかな気持ちで寝ることもできるだろう。
じゃあこの天園から出よう。
やり残したことは…

嫌な予感がした。
とてつもなく嫌な予感がした。
あっけない幕切れ。
何か……忘れてないか?
そして思い出す。

偽乱造『創造の天才』は今まで一回も、能力を使っていない。『対等』である俺が彼がどんな能力なのか『知らないまま』物語が終わるなんて不気味過ぎて笑えない!

帰りかけたフロアを振り返る。
『悪夢』が倒れている横に倒れていた偽乱造が、いない。
「ツバキっ!あいつがいねぇ!」
「はぁ…?何言って…!?」
ツバキも気付いたのか、警戒レベルをマックスにする。

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