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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 16

「ん…無自覚か?無意識か?……いや、無我夢中か…ナイトメアくん、私を前にして、どうして笑っていられるんだい?」
「え…………」
鏡を見せられる。
僕の顔は涙でグシャグシャになりながらも、確かに、笑っていた。
「平凡な日常とはおさらばだ。そうだな…君は………私より『最悪』になってもらおう」



ゾワリと背筋に悪寒が走る。
今まで出会ったことのない、異常の中でも一番酷い異常天才。
出会わなければ良かった、と正直に思える。
恐怖を超越したこの感情は…嫌悪。
目の前に立つ叢雲悪夢という人間からは、果てしない闇のような、底のない沼のような、出口のない迷宮のような、どうあがいてもマイナスのイメージしか浮かばない。
「さ…死神ちゃん、この状況において次の『最悪』は何かな?」
「イレイズっ!!!!」
叫んでいた。
気が付いたら、『消去』の言葉を叫んでいた。
身体が震えるほどの危機を感じ、無意識に自分を防衛した。
しかし、案の定、叢雲悪夢が消えることはなかった。
もう……叢雲悪夢を『消去』することが出来なくなった。
「さすがに死神ちゃんは頭がキレるね?自分を守るために咄嗟に『消去』したのだろうけど、『最悪』はそれくらいじゃ揺るがないよ……………君はもう、『天才』じゃない」

私はただの人間になってしまった。

涙が流れた。
もう……『消去』することができない。
ポロポロと涙が流れた。
自分の『消去』を憎んだ時もあったけど、失って大切なものだったと気付く。
「さて…と……次の『最悪』は何にしようかな……?」
「…………死んじゃえ」
「ん…?」
「…お前なんか…死んじゃえ……」
「はい、今の死神ちゃんの言葉で、いたいけな子供が2人死んじゃったよ…」
「…っ…酷いっ…殺すなら…私を殺しなさい…」
「ん…?それは…死神ちゃんにとって『最悪』じゃないじゃんか。君は自分の死を『最悪』だと思っていないからね?」
これほど酷い人間を私は見たことがない。
この人がいなくなるだけで、世の中の悪人の平均値が一気に低下するのではないかと思えるくらい、叢雲悪夢は『最悪』である。
「くす…さてと…」
「もう……やめて………」
「生神神子」
「やめてっ!お母さんはやめてっ!お願いっ…なんでもするから!」
「…なんでも?」
「…………はいっ…だから、お母さんはっ…」
「へー…なら、生神神子と才気無色…どっちに死んで欲しい?選んで?」
「…そん……な………」

私のせいで。
大切な人が死んでいく。
なら、いっそ。
私も、壊れれば、いい。

「叢雲悪夢…」
「ん…?選んだかい?」
「はい…」
「どっ……なるほど、死神ちゃんは凄いなぁ…」

「2人とも、殺し…!?」
タッタッタッ…

誰かが近づいてくる音がする。
振り返り、この部屋に入るための通路を見る。

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