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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 15


叢雲悪夢。
『最悪の天才』。
ただ普通に小学、中学と進み、成績も普通、性格も普通だった高校生になった春。
ある人物に、人生を狂わされる。
それは一瞬。
今まで良い子だった叢雲悪夢は学校が終わり次第、即帰宅という帰宅部でもエースだった。
しかし、その日だけ違った。
家までの帰り道、どこかで学生手帳を無くしてしまったのだ。
もちろん無くすはずがない。
学生カバンのいつものところに入れてるはずなのに。
今日は手帳を使うこともなかったのに。
不思議に思いながら来た道を戻る。
ついには学校まで帰ってきてしまった。
その時点で既に外は暗い。
ちょうど野球部や陸上部、サッカー部が部活を終わらせて帰宅しようかというところだった。
グラウンドにもなく、教室まで戻った時には既に真っ暗。
夜の教室は初めてで、不安とドキドキが混じり、ちょっとだけ悪い子になった気分だった。
教室のスイッチに手を伸ばし―
「君かい?」
ふいに声を掛けられて驚く。
その月夜に照らされた教室にシルエットが浮かび上がる。
声とシルエットから大人の男性が僕の席に座っている。
怖い。
こんな経験は初めてだし、なにより姿が見えないのがなにより怖い。
逃げ出そうと思った瞬間、シルエットに四角いモノが浮かんだ。
「叢雲悪夢って…君かい?というか…コレ、君のかい?」
学生手帳がそこにあった。
恐怖は消え、手帳が見つかった安堵感と、家に帰れる安心感が胸を包んだ。
「はい、僕のですっ…ありがとうございます!」
席まで駆け寄り、学生手帳を受け取る。
学生手帳ははっきりと見えるのに、男の人ははっきり見えない。
僕が見ようとしていないのか、学生手帳にフォーカスを合わせているから、ぼんやりと男の人は笑った。
「いけないよ、学生手帳を無くしたら。ここには君の個人情報がたくさん載っている。それが悪い人に使われたらどうするんだい…叢雲悪夢くん」
「え………」
「しかし、良い名前だ。君の親はセンスがあるね、ナイトメアくん。悪夢が群がってる雲のようにあったらこの世はきっと素晴らしく酷い!格好良く悪い!最高に最悪だ!」
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
殴られそうで怖いとか、怒られそうで怖いとか、そういった綺麗な怖いじゃない!
ただ、単純に、怖い!
「ん…ほう、恐怖を感じるか…しかしだなナイトメアくん。私にとって君が一番怖い」
スッと男は立ち上がる。
そして僕に近づく。
逃げなきゃダメなのに恐怖で足が動かない、抵抗しようも恐怖で腕が動かない。
動くのは…この口だけ。
「……いや…だ…」
「なに…悪いようにはせん。良いようにもせんがな。しかしナイトメアくんは本当に怖いな」
さっきから…僕を怖い、だって?

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