PiPi's World 投稿小説

GENIUS・PLUS
その他リレー小説 - その他

の最初へ
 12
 14
の最後へ

GENIUS・PLUS 14

振り返ると憎たらしく懐かしい顔があった。



『戦闘』『拒絶』『幻覚』のステージを終え、次のステージへと進む。
「次は………ぁ…」
見覚えのある背中に泣きそうになる。
その人はゆっくりと振り返り、その顔を見せた。
「久しぶり…死神ちゃん」
「無色…くんっ…」
たどたどしい歩みで近付く私を、そっと抱き締めた。
「ごめんね、死神ちゃん……ん……」
唇を奪われた。
でも、いい。
今は…もうこの喜びに任せたい。
「んっ…んん……ぁ…ンっ…」
舌を絡め、唾液を混ぜる。
なんて甘く、なんて幸せ。
「っ…はぁ……死神ちゃん」
「無色くん…」
互いに見つめる。
そしてまた唇を近づける。
触れるか触れないか…その刹那、違和感を感じた。
バッと離れる。
急いで口を手の甲で拭う。
「死神ちゃん?」
「ごめんなさい…無色くん…質問していい?」
「なんだい?」
「8年前、お母さんにあげたのは白い何だった?」
「マグカップ…だよね?」
「『イレイズっ!!!!』」
「………ちっ…『イレイズ』」
『消去』と『消去』がぶつかりあう。
最悪。
私は最悪なことをした。
もう一度唇を拭う。
アイツは、姿も声も私の知っている才気無色に似てるけど、才気無色じゃない!
「あなたは…誰ですか…?」
「才気無色」
「嘘をつかないでください!」
「何を言ってるんだい死神ちゃん?俺は才気無色、『対等の天才』だよ?」
「『イレイズ』」
「『イレイズ』…死神ちゃんは酷いなぁ?そんなに俺を『消去』したいのか」
「私の中で才気無色は1人だけです。同じ人なんていりません」
アイツが何故『消去』を使えるかなんて関係無い。
才気無色という人が2人もいるのが、どうしようもなく許せない。
「怖い顔するね、死神ちゃん。仕方ないなぁ…さすがに死神ちゃんにはバレちゃうか。OK…特別に僕の本当の名前を教えてあげよう…」
声も。
顔も。
ほとんどすべてが才気無色だった彼が本当の名前を口にした。

「叢雲悪夢(ムラクモアクム)…『最悪の天才』だ」

彼が本当の名前と、自分の天才を口にした瞬間に、彼の顔も声も姿形全部…違う人間になった。
「あぁ…ごめん、これが僕だ。さっきは才気無色になりきっていてごめんね?」
「なりきって…いて…?」
「あぁそうだ。どうだった?感動の才気無色との再会は?『最悪』だったでしょ?実は才気無色じゃないのにキスしちゃってさ?死神ちゃんも案外気持ちよさそうだったじゃないか。途中で気付いたのはさすがと言わざるを得ないんだけど、才気無色じゃない男とキスしたのは事実だ。この事実を何千何万の人に伝えてあげようか?きっと死神ちゃんにはみんな愛想を尽かすし、才気無色だって嫌いになる。君の周りから誰もいなくなるんだ……どうだい?『最悪』だろう?」

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す