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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 13

痛みを我慢して微笑みを向ける。
あちらが悪魔ならこちらはなんだ。
「嘘。今まではみんなそう言ってきたよ?」
「嘘じゃないよ。俺だけは信じて欲しい」
「嫌。心は信じないよっ♪」
子供の気持ちは分からないが、純粋な拒絶ほど怖いものはない。
「あ…でも…1人だけ…好きな人がいるよ♪」
と突然言ってきた。
「誰だい?」
俺はできるだけ優しく聞く。
それが鍵になることは間違いないはずだ。
そして、聞かなければ良かったと後悔した。
「……才気さん…は好き…」
その名を聞いた瞬間、全身の血が凍った。
「へー…どこが好き?」
「んとね…あの人も昔、ある人にとっても酷いことをされたんだって!」
凍った血が、徐々に温度を上げ始めた。
「心に似てるの♪心も昔酷いことされたの…だから…才気さんは…好き♪」
「そうなんだ…あいつがねー…」
今の俺は笑っているだろうか。
きっと笑っている。
万人受けする、きっと爽やかに笑っている。
悪魔でもなく、天使でもなく……ただただ無表情に笑っている。
それは笑顔という仮面を付けた道化師。
「ふーん…なら『もっと好きになれ』」
「え………?」
もう体温が熱い。
血管は沸騰してただれるのではないかと思う。
「心は…好きだよ?」
「うん…だから『もっと好きになりな。まだ足りないよ。全然まださ。好きって言うだけじゃ足りないよ』」
「う、うん…だけど…」
初めての、拒絶ではなく同意に有無心は動揺する。
「『お兄ちゃんは才気無色のことを良く知ってるからアドバイス出来るよ。もっと好きになっちゃえよ。才気無色のことだけは愛して受け入れてしまいな?』」
「も、もちろんっ…才気さんは心の王子様なんだからっ!」
もうダメだ。
燃えてしまいそうだ。
こんないたいけな少女を、グチャグチャにしたくてしょうがない。
「でもね…ダメだよ。心ちゃん……君は…何の『天才』だい?」
「心は…『拒ぜ
「そうさ『拒絶の天才』だぁ!いけないよぉ…『拒絶の天才』が人を『拒絶』しないなんて!そもそも心ちゃんに恋愛は無理なのさっ!だって万物全部を『拒絶』しなきゃいけないんだから!ほら…サイキのことも『拒絶』しな!じゃなきゃ……『君は拒絶の天才なんかじゃない』」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
少女の絶叫に、急激な体温の低下を感じる。
「ちっ…萎えた…くそ、また壊しちまったか…」
有無心はしゃがみながら頭を押さえ、震えている。
精神崩壊もいいとこ、もう普通には戻れない。
これで晴れて真の『拒絶の天才』になれたわけだ。
もうこの子は誰とも話さないし、目を合わせようとしない。
そして…死んでいく。
「……だからまだ…異常って言われるんだよな………」
次のステージへと進む。
「…心ちゃんが可哀想だよ……」
ふと…懐かしい声が聞こえた。

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