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GENIUS・PLUS
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GENIUS・PLUS 12

御門深華が臨戦態勢に入る。
身を低くし、まるで草食動物を狙うチーターのようだった。
突然、シュンッと彼女の姿が消える。
「ふざけんなっ…!」
相変わらずのスピードに慌てつつ自分の周りに重力場を作る。
360°、どこから近づいてきても重力に押しつぶされる。
…はずだった。
気づいたときには激痛と共に壁に叩きつけられていた。
「ぐぁ…ぁ……」
何が押しつぶされる、だ。
彼女は重力などものともせずに横から殴りにきた。
「なんか一瞬体がダルくなったけど…?」
「はは…は…」
俺の能力を、ダルい、と一蹴される。
サイヤ人かこいつは。
痛いのか悔しいのか分からず笑えてくる。
「壊れちゃったかな?」
「くっ………ぅ………」
立ち上がることすらできず、横たわる俺にゆっくりと近づいてくる。
「やっぱり雑魚だったかにゃ?」
彼女はガシッと俺の頭を踏んだ。
いつしか見たことある光景に震える。
「最期に何かある?」
「…っ……俺は天才…なのか…」
「は……?雑魚だから…違うんじゃない?」
「……天才に…なりてぇ…」
「無理だよ…私に潰されろっ♪」
一秒後の死を覚悟した。
次の瞬間、俺は男の人にお姫様抱っこされながら、バキッと床を潰す御門深華を見ていた。
「ありゃ?どうしたんですか?」
「この男の子は殺しちゃダメだよ、深華ちゃん」
「はぁ…了解しましたー♪」
あの御門深華が素直に命令を聞いていた。
「悪いな…痛かったろう?」
と聞かれても、まず誰なのだろうか。
「お前っ…だれ…だ…」
その男は含み笑いをした後にこう言った。
「ただの凡才だよ」


「……『嫌』」
有無心はまた1つ『拒絶』する。
まだ幼い有無心にとっては、自身に害があるものは全て『拒絶』してしまう。
大人になるにつれ、付き合いなどで嫌いな人とでも接しなければいけない機会が増えてくる。
同時に嫌いな人との付き合い方を学んでいくものである。
もう一度言おう。
有無心はまだ幼い少女である。
好き嫌いの区別がはっきりと出る年代である。
だからこそ、この年代でこの『天才』は不良品であり、最高傑作であると言えよう。
「ねぇ…お兄ちゃんは…私に怖いことするの?」
そして重ねてもう一度言おう。
有無心はまだ幼い少女である!
「大丈夫だよ。お兄ちゃんはこれ以上、心ちゃんに近づかないし…ほら、何も持ってない。心ちゃんに怖いことは絶対しないよ?」
「『嫌』…もっと離れて」
「『嫌じゃなっ』…がっ!」
グンッと後ろに引っ張られたかと思うと壁に背中を強打する。
「いつ…痛いよ心ちゃん…痛いのは心ちゃんも嫌じゃないかな?」
「でも…心は痛くないもん♪」
ニコッと微笑む笑顔は年相応の笑顔なのだが、悪魔の笑顔にしか見えない。
「心ちゃん、お兄ちゃんは…心ちゃんに何もしないから…ね?」

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