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迷宮の
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迷宮の 7

 
【カヒマ】
 
さてこちらはカヒマである。
 
「成程…そう来たか」
 
カヒマは課題を“思い出す”と、すぐに狭い部屋を走り始めた。
どうやら彼は『脳内麻薬を分泌させれば痛みも感じにくいだろう作戦』をとるつもりらしい。果たしてうまくいくのか。

【コクリ】

そして、こちらはコクリ。
彼女も外見からはさっぱりわからないが、課題を“思い出した”。といって驚いた顔をするワケでも、怖がる様子を見せるワケでもない。
ゆっくりと部屋の中にある松明を見る。燃え盛る炎。こんなものに手を突っ込んだら、熱い。
ドウブじゃないんだから、とコクリは無表情のまま思った。
とりあえず手をいれてみる。
ひっこめる。
熱い。
さて、どうしようか。
 
コクリは他の三人ならどうするかを考えてみた。
…ドウブはこう言っていた。
 
『絶対に無理だと思う課題だった場合は、課題の解釈を広げてみろ』
 
カヒマならこう言うだろうか。
 
『無理するな。一旦寝ろ』
 
ナツミはきっとこう言う筈だ。
 
『こんな課題に真面目に正面からあたるとかあほやし。こじつけでもとんちを試す方が良いで絶対』
 
コクリは取り敢えず待ってみる事にした。
そうか。
しばらくしてコクリは顔を上げた。
そしておもむろに自分の着ている黒い服の一部を破ると、その破片を松明に点した。それは小さな火が着きチリチリと燃える。
コクリはその火に腕を翳した。

「っ…!」

熱い。けれどメラメラと燃え盛る松明に手をつっこむよりはマシだろう。
課題は、腕を『炙る』ことだ。松明でやる必要は無い。
【ナツミ】
そして、最後にはナツミである。

「伊達に長い間色々な部屋を回って来た訳じゃないからな」
そう言って、ナツミは腰の後ろにあるバッグに手を回す。
取り出したのは一本のペットボトルだった。
物欲の無いこの世界で、部屋の中に在った物を部屋の外に持ち出す人間は少ない。

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