PiPi's World 投稿小説

迷宮の
その他リレー小説 - その他

の最初へ
 4
 6
の最後へ

迷宮の 6

 
 
 
 
今、人間(これからは『彷徨者』と呼ぼう)が四人、第二の門の一つの前にいる。
そう。彼等は先頭集団なのである。
 
「挑戦する前にもう一度“石”を確認しておこう」
 
彼の名はドウブダンバクジョウゲンガシュラ。長ったらしいのでドウブとする。彼はこのグループのリーダーである。
 
「またかよ…何回確認すれば気がすむんだよ…なあ?」
 
今文句を言ったのがカヒマサンジュキュウレイ。長ったらしいのでカヒマとする。
カヒマが同意を求めた相手はコクリメイノウミナという少女。長ったらしいのでコクリで。
コクリはカヒマが話しかけたにも関わらず、口を開く素振りも見せない。ところがカヒマはそうか、と勝手に納得している。
余談だが、この二人は四人の中で最も付き合いが長い。
そんなカヒマを見て、先程まで様子見にまわっていたアサミと同年代の少年が言った。
 
「念には念を入れよも別に悪くはないと思うけど?カヒマさ……」
「まただ!!俺の事はレイと呼べと言ってるだろ」
 
何故かカヒマはレイと呼ばれたいらしい。
 
「そっちこそ僕の事ジュリドとか呼ばんといて欲しいんですけど」
 
いや、謎のこだわりがあるらしい。
コクリの事はコクリと呼んでいたが…どういった基準なのだろうか。
 
「紫が二、その他が七。行くぞ」
 
ドウブの声に二人は言い合いを止めた。
 
「待たせやがって」
「今回も皆同時に?」
「……」
 
四人は門の前に並び、同時に門に手を触れた。
 
 
 
 
【ドウブ】
 
気付けば、そこは八畳程の真っ白な部屋。部屋の中央には赤々と燃える松明があった。
それを見て、ドウブは課題を“思い出した”。
 
―自分の腕を自ら十秒間炙る
 
「……それだけか」
 
恐ろしい内容だが、ドウブは一切動じなかった。
彼は課題のクリアに向けた第一段階として、その場で座を組み瞑想を始めた。その姿には微塵の無駄も感じられない。
 
 
 
 
暫く経った。ドウブは立ち上がり、これまた無駄の無い動きで炎の中に腕を突っ込んだ。
普通、どんなに肝が座った人でもそんな事をすると反射により意識とは関係無く腕を引っ込めてしまう筈である。
しかし、ドウブは涼しい顔をして自分の腕が炎に舐め回されるのを見ている。
 
何故か。
 
『心頭滅却すれば火もまた涼し』を再現したのだろうか。瞑想により自らの神経を騙し、反射運動すら支配したのだろうか?
真相は謎のままであるが、ドウブが只者ではない事だけは確かである。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す