俺の守り神・ぷらす 4
佐倉さんと雄太と俺は同じ中学校だった。だから佐倉さんとは遊びに行くほどではないが仲良しである。
「雄太…ヤメロ。暑苦しい…ていうか見苦しい」
「じゃあ団扇で扇いで」
「絶対やらねー。佐倉さんもこいつに構わないほうがいいよ?」
「そーかもねー♪」
「優名っち…厳しいぞ〜…」
と同時にベルが鳴る。午後の授業の始まりである。
午後の授業が終わり、正門をくぐる。すると後ろから誰かに呼ばれた。
「佐倉さん…?」
「優君、今帰り?」
「そうだけど?」
「じゃあ…一緒に帰らない?」
同じ中学校だから家の方向も嫌でも同じになる。嫌じゃないけど。
「佐倉さん、部活は?」
「今日は定休日なの♪」
「今日は定休日なの♪」
本当に休みでよかったー♪久しぶりに優君と一緒に帰れるー♪今、幸せだな私♪でも優君…私と帰って嫌…じゃないかな?やっぱり男の子と一緒に帰ったほうがいいのかな?
「あれ?具合悪いの?」
「あ、ううん♪大丈夫だよ♪」
う…そんな笑顔で言われても困る。待て待て、そんな淡い気持ちは捨てておけ。確かに中学校は同じ。ちょっとした幼馴染みと考えることもできるのではないか。
しかし俺と佐倉さんはただのお友達。これを忘れてはいけないのだ〜。
そろそろ最後の曲がり角。頑張って私。ここがチャンスよ!!
「優君?」
「ん?何?」
「あの…ね?私…まさ」
「優ー!!ちょっと早く!!アースが炊飯器壊した!!」
「げっ!!マジ!?あ…佐倉さん、またね!!」
「え!?あ!?ま…また…ね…」
…失敗。
見知らぬ女の子によって。しかも優君と親しげ。
一人で帰り道を歩く。なぜか早足。
「なんなのよ…もーっ!!!!」
バッグを持つ手に力が宿る。
「次は…絶対…!!」
決心して家路に急ぐ。まだ彼女の夏は終わりそうにない。
悲惨。
なにをどうすればこうなるのかが分からないくらい…悲惨。
きっと液晶が映らなくなっただけとか考えていた自分が恥ずかしくなった。
まず…米が黒い。おこげというより炭。そしてフタが外れ、液晶は漏れてる。ところどころ膨れている。コンセントケーブルが途中で断線。
「…なんでこうなったの?」
「…バゴーンってなりました〜♪」
なるほど…。つまり爆発したんだろう、炊飯器が。確かにそれだとフタは吹っ飛ぶ。はずみでケーブルも切れるな。
周りを見る。水名は俺を迎えに来て、あー疲れた…って言ってソファーでテレビ見てる。火芽も同じく。この二人は、自分関係無いッス…って感じだな。
美雷は事の一部始終を見ていたらしい。
真木は…黒い米を見て泣きそうになっている。
「アースはどこ?」
「逃げました〜♪」
「……ミナとヒメ、アース探しに行って」
二人は不満そうな顔をして外に出た。
「じゃあ俺も探してくるから、後片付けは頼んだ!!」
「分かりました〜♪」
「ご、ご飯が…」
真木が心配な気持ちを抑えて外に出た。