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俺の守り神
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俺の守り神 4

ミナは『神界』という場所から地上の風景を見ていたらしい。だから車の存在も知っていた。だがさすがに家の中までは見えなかったという話だ。
ミナはキョロキョロと家の中を見て、ある物を見つけた。
「…この写真は?」
「ああ…俺が幼稚園の頃に撮った写真だ。そのちっこいのが俺。右が母さんで、左が…父さんだ。もういないけどな。」
父、貴志(タカシ)は俺が幼稚園の時に他界した。交通事故である。まだ俺は小さいから何も分からなかったが、どうやら父さんは俺を庇って死んだらしい。それからは母さんが女手一つで俺を育ててくれた。
「ふーん…」
ミナは興味無さそうに写真から目を話した。
「あ…ミナちゃんの部屋は優の隣りの部屋ね♪」
何を言う母上。
「うーん…譲歩するわ♪」
貴様…。
とんとん拍子で様々な事が決まっていく。もちろん俺には選択肢無し。会議から外される俺。
「…疲れた、もう寝る。夕飯はいらねー。おやすみ。」
早く寝て嫌なことは忘れるか。ま…明日から同じような日は続くんだけど…。

………………

午前三時。
ミナは自室で目の前に大きいコンタクトレンズのような水の膜を作った。そして目を閉じ何かを唱えた。
…すると水の膜にある男の顔が映った。
「……貴志か?」
「はい…水名様…なんでしょうか…?」
「今、貴様の家にいる。」
「そ、それは何故!?」
「そんなことはよかろう…貴志よ…優に会いたいか…?」
水の膜に映っている男は動揺を隠せない様子である。
「私の気持ちが変わらんうちに決めろ。」
男は意を決して言った。
「あ、会いたいです!!」
「ふ…よかろう…」
水の膜は消え、ミナはまた目を閉じた。
すると突然、ミナの足下には魔方陣が描かれ発光しはじめた。
光は広がりミナの部屋を包んだ…。
隣室。
「優…」
…誰か俺のことを呼んでる。
「優…パパだよ…」
父さん…!?
「そうか、もうパパじゃなくて父さんか…大きくなったね」
父さん…?なんで…?
「なぁ優…ママは元気か?」
元気だけど…?
「そうか…よかった…。二人残して逝ってすまない。」
そんなことないって…俺だって…俺が道路に出てなければ…
「いいんだ…僕は父親として役目を果たしただけだよ…優が生きていれば充分。」
………ごめん。
「……さてもうお別れだ。」
もう!?
「悪いな…優…元気に暮らせよ…」
そんな…待って…
「じゃあ…な。」
パパーー!!!!
ガバリと起き上がる俺。
朝だった。
「夢…か?そのわりには…」
現実味がある。父さんの顔もはっきりしてるし…声も…。
「…父さん…」
そういえば…幼稚園の頃。父さんが朝、俺の部屋のドアをガバッと開けていつも俺を起こしてくれた。
「起こして…くれたのかな…」
そう呟いてドアに目をやる。
…ちゃんと閉めたはずなのに…少し開いてる。
と言うより…
ドアの隙間からミナが俺を見てる…。
「はよ…で、何見てんだよ…」
「別に…ふふ、ぱぱー♪」
「なっ!?お前っ!?」
「可愛いところあるじゃないか♪」

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