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俺の守り神
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俺の守り神 16

近くの公園に入り、ベンチに座った。
「神様に…なれたのか?」
「…うん。私、今年の神様だよ」
「それで…なんで会いにこなかったんだ?」
「会いに来て欲しかったの?」
ニヤリ…
こいつ…神様になってからレベルアップしやがった。
「あのね?神様はいろいろ大変なのよ。私だって優に会いたかったけど…会えなかったの」
「今は…?」
「逃げてきた♪」
「は…?」
「だから、逃げてきたの」
俺は神様がお前で不安でしょうがない…。
「いいのか…?」
「きっと…ダメだわ♪」
「どうするんだ?」
「んー…そうだ♪優、福袋とお菓子買いにいくぞ!!」
「は?何で?」
「約束したじゃない♪」
「あ…そういえば…」
「ホラ♪早く行こっ♪」
「仕方ねーなー。福袋はあるか分からねーぞ?」
「えー…じゃあ…服でいいわ♪」
「まぁ…それなら…」
ミナは笑顔で俺の腕をひっぱる。
「あ、優…あのー…」
「何?」
「庇ってくれて…ありがとね…♪」
「どういたしまして。神様就任おめでとう、水神様」
「ありがとっ♪」
「最高に頼り無いけど…」
「うるさいわね。溺れさすよ?」
「そしたら服とお菓子買えないぞ?」
「あ…むー…」
勝った…ニヤリ。

その時…
ミナの姿が薄くなった。

「ミナ…体が…?」
「あ…やっぱりバレちゃった。逃げてきたこと」
「え…大丈夫なのか?」
「うん…でも優とはこれでお別れかな」
ミナは哀しそうに、本当に申し訳なさそうに言った。
「また…会えるのか?」
徐々に薄くなるミナ。
「ううん…きっと会えない。本当は神様って人間界に来ちゃいけないんだ」
…なんてことだ。せっかく会えたのに。
「でも私は優のことずっと見てるから♪」
苦しい笑顔…そんなのはミナには似合わない。
「ミナ…」
「大丈夫…きっとまた会えるよ♪」
確信の無い答え…。でも会えないという確信もないんだよな…。
「ミナ…ありがとう…楽しかった…」
「うん…よかった…♪それじゃあ…またね♪」
ミナの姿は完全に消えた。
その見えぬ姿に手を伸ばしたけど…手のひらは空だった。

ほんのさっきまでは…隣りにミナがいた。
ミナは言っていた。
『きっとまた会えるよ♪』
俺はその言葉を忘れないだろう。
そして…彼女の笑顔を忘れない。
「さて…あいつも見てるらしいから、ちゃんとマジメに今年は生きな、い、と…」
涙を堪える。
またいつの日か…再会の時まで…。

この時はまだ…
再会の時が…
来年の一月一日だとは…
知るよしもなかった。

「あの…今、何年ですか♪」
「2007年…なったばっか」
「ふふふ…ただいま♪」
「…おかえり」

fin


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