PiPi's World 投稿小説

俺の守り神・ぷらす
その他リレー小説 - コメディ

の最初へ
 17
 19
の最後へ

俺の守り神・ぷらす 19

水名の2剣は視認できるかできないかくらいの薄さになっていた。間違いなく氷なら溶けてしまっているはずである。
「教えたのは失敗だったかねぇ…」
水世は新しく氷の槍…凄まじく長いつららのようなものを作った。
シュババババ!!!!
水世の槍が光の速さで水名を突く。それを相手が空けて見えるほどの薄い氷の壁で防ぐ水名。
「お母様…無理だわ…分かってるでしょ…?」
「これほどとは分からなかったわ…」
水世が槍を2つに割り、形を変え、水名と同じく2剣にした。
「水名…お母さん…本気でいくわ?覚悟しなさい…♪」
2剣を構える水世。
「ミナ…大丈夫か…?」
「うん…今ならなんでもできるような気がする…♪」
水名は2剣を持っている腕をぶらり下げ、目を閉じた。
「自動氷壁全方位展開…」
水名の体の周りはキラキラと輝きだした。
「3重展開…」
また一層輝いた。
タッ…パキン…!!
水世が駆け出し水名に剣を降り下ろしていた。しかし3重による氷の壁で防がれていた。
水名はまだ静かに…何かを呟いていた。
まさに神の歌声のように…

「水面のごとく静…
 津波のごとく動…
 雪のような緩やかさ…
 氷柱のような鋭さ…」

そして水名は舞い始めた。

スーッと音も無く、目を閉じたまま水世に近付く水名。
その後は剣舞のように…美しく、鮮やかに斬撃を入れていく。
水名の2剣の速さ、鋭さについていけない水世は防戦一方である。
「…っ!!…くっ…!!」
キキキキキキキキン!!!!
水名の2剣は0.1秒に一回のペースで水世を攻撃している。
たまに水世も反撃するが氷壁に阻まれて時間の無駄に終わる。
みるみるうちに壁に追い詰められる水世。
「お母様…もう…やめない?」
「もう…手に負えない娘になっちゃったわねぇ…」
2人とも攻撃の手を止める。
「もう…いいわ、水名。好きにおし…」
「えぇっ…!?」
水名の瞳がカッと開く。
「その代わり…神界に帰ってきたらタダじゃおかないからね…?」
「〜♪」
微妙にシカトする娘。
「まったく…誰に似たんだか…」
誰だろうネ。
「優君…?」
「え…あ、はい…?」
「さっきはごめんね?こんな娘だけど…11月までよろしくお願いね?♪」
疲れた…と言い残して水世は去っていった。

10月31日。
すっかり季節は秋っぽく…たまに冬を感じさせる厳しい風が吹く。
俺と水名はあのプールに来ていた。
「じゃーん♪どう、優♪」
「いや…それ前と同じじゃん」
あの後、家に帰ると他の4人の代わりに1通の手紙があった。みんな水世に連れてかれたらしく、今までありがとうございました…と感謝の言葉が書いてあった。
「あれ♪行こう♪」
「お前、蹴るからヤダ」
人が少なくなり静かになったと思ったが…結局、水名は5倍うるさかった。

SNSでこの小説を紹介

コメディの他のリレー小説

こちらから小説を探す