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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 54

人工港構想は民間の南洋諸島開発から産まれた産物である……南洋諸島には大型船が泊まれない港も多く小型船で人員や荷物を積み下ろしをするしかないが建機や自動車を陸揚げするとなるとそうはいかない。かと言って余所からの土を埋め立てるのも時間がかかるし生態系を破壊する。そこで波浪発電の制波技術を応用して開発されたのが日本式人工港、これは既に日本国内や亜細亜各国で使用され港が構築できなかった島々の生活を変化させた。日本海軍と英国海軍がトリスタン.ダ.クーナ島に構築される人工港“トリスタンリーフ”は戦後も使用され大西洋航路に置いての緊急避難港として機能する事になるのは別の話である。
「コレハセンゴも残すのですか?」
「うむ……この先の情勢次第では阿弗利加諸国の内乱も懸念されている。南阿弗利加連邦には是が非でも白人と黒人が手を取り合い周辺諸国の近代インフラ整備の拠点にしたいのだよ、他の阿弗利加にある植民地が今後の国作りになりえるケースを作りたい訳だ、首相は」
「もし失敗すれば」
「暗黒大陸になりかねない、ヒトラーの影響が何処まで及ぶか……そこが問題だ」
ハルトマンは驚きを隠せない、確かに戦後あり得る話だ……その場合ここは国連の出先機関が拠点になりえるからだ。
「家府街(ケープタウン)を目的だが場合によっては洋上給油になりえる、ハルトマン少佐忙しくなるぞ」
「イエッサー、キャプテン」
この前の作戦で恐らく中東にあるUボート基地は元より欧州各国にあるUボート基地からも遠征に来ると踏んだのだ。



ユ号01潜となっているU−177の艦内は和気藹々である。
「うめぇ!」
「日本軍の戦闘食糧がここまで美味いとは」
「潜水艦用に開発された混合合成加工食糧です……無論宗教上配慮して牛や豚がタブーとされている所はその原材料を除外してますよ」
この加工食は通常棄ててしまう個所までミンチにして塩と調味料を混ぜ合わせて定寸にカット、そのまま蒸煮させて民間食品加工業界と共同開発した真空乾燥機に入れた後に自動包装され梱包される。オートフォーメンション化された生産ラインは民間の加工食工場や給糧艦にも登載出来る優れ物だ。元は第0連合艦隊を初めとする潜水艦向けに開発されたが陸軍も採用している。
「ドイツでは考えられないな」
Uボートは至る所に食糧が詰め込まれ、その量は弾薬よりも多い。日本海軍の場合は出来るだけ収容するようにしており尚且つ四季も存在する事で食糧加工保存技術は欧米各国並に高い……更に災害の際には罹災者に配布する食糧としても活用される事になり、亜細亜各国では其々の宗教に考慮してタブーになる材料を避けている。特に多民族国家である印度や印度音志阿(インドネシア)や間錬氏阿(マレーシア)は魚介類や鶏肉各種野菜のみである……この調理法は宗教面や材料面でも考慮出来ると言う事だ。
「日本はここまで進んでいるのか」
「いえ、これもユダヤ人のお陰ですよ……彼らは富を独占していると言いますが、全員が新たなモノを作り出せる訳でもありません」
「なるほど」
UZI機関拳銃を見た航海長は納得した。
この銃に関してはナチスドイツ第三帝国海軍内でも知れて無く、SMGと分かった時には驚いた。何よりもこの様な銃は艦内での制圧戦や防衛線の定番になりうる。
「何故、ヒトラーの素性を見抜けなかったのだろうか」
「航海長……葵川司令官に言わせればヒトラーは民衆の心理を上手く掴んだ、否騙したのだよ……寧ろ」
「ゲッペルスだな」
副長は腕を組んでため息をついた。
「艦長、Uボートはケープタウン沖に集結しつつあります」
「艦隊の進路を変えるのか?」
「あの司令官なら殲滅させるさ……鮫が異常に集結した魚場でのんきに漁をする猟師は居ないだろ」
「二つに分けるにしろ危険ではないのか?」
「極光艦隊の航空巡洋艦瑞穂型は対潜警戒/攻撃機の母船だ、それに飛鳥も対処は出来る」
「あれが木造戦艦とは思いもしませんでしたよ、太平洋の奴が」
「ああ、太秦の事か……あれで掃海艇開発データがたんまり採れたし木潜建造にも目処がついた」
木潜とは日本独自の潜水艦で名の通り木材加工技術と高分子化学による接着剤により出来た潜水艦である。深度は精々水面下10mだが制空/制海圏が確立した亜細亜や日本海域での運用なら問題が無い……この潜水艦は輸送艦として設計されたが言わば哨戒専用攻撃潜水艦まで開発した。ただし魚雷は内部から装填出来ないので攻撃したら即母港に戻るか水上母艦による補給を必須としている。
「さて、これに懲りて艦隊が出てくると助かるがね」
「官僚化が進んでいる以上、出てくるでしょう……」
ユ号潜01は進路をボンペイへと向ける。


夜間、間羅化(マラッカ)海峡を進む病院船徳州丸……泰の首都である駆瑠手府(クルンテープ)から南下したこの民間の病院船は主に法定伝染病対策船であり、亜細亜各国にて発生する法定伝染病発生地に赴く……夜間の海峡を進む。
「速力を6ノットまで落とせ、見張り各員及び手すきの作業員は双眼鏡で警戒」

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