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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 44

「機長は戦争が終わればどうするんですか?」
「祖国の状況次第だな……赤星野郎(=共産主義)が政権が執る事も考えられるし……まあ亜細亜か南洋で飛行艇に乗る事も考えている」
部下は独逸人ではない、正確に言えば独逸に征服された民族である……ポルコも実質的に言えばその部類に入るだろう……。



超弩級戦艦飛鳥型戦艦飛鳥……現段階では飛鳥一隻のみのワンオフ戦艦であるが同じ船体を利用した装甲空母として信州型装甲空母一番艦“信州”二番艦“土佐”、そして大和型航空戦艦の船体を利用した信玄型航空戦艦一番艦“信玄”に二番艦“謙信”は其々の母港から出港し会合地点を目指している。
無論、日本領海内とは言えナチスのUボートは元より亜米利加の潜水艦による雷撃もあり得るので各中核戦艦には三笠型海防航空艦数隻が張り付き軽巡や駆逐艦と共に警戒している。なおこの船は英国海軍にも配備されアテナ級イージスとして室蘭沖から南下するアークロイヤルに呉にから出港したプリンスオフウェールの直衛に入っている。沖縄沖で偶然にも集結した日本海軍の新艦隊を目撃した米海軍潜水艦艦長は余りの凄さに言葉を失い、潜水限度ギリギリまで降下しその場を離れるしかなかった。最もこれで雷撃でもしていれば水面下で進んでいた日米講和条約の準備会議が数年遅れる結果になっていたと言う。
「反応ロストです」
「米海軍も侮れませんな」
「イ1000潜の様な潜水補給艦を建造したかもしれんな」
「まさか?」
「相手は人間だ……あり得ない話も無い」
極光艦隊の総指揮を任された男こそ、葵川 吉宗海軍中将……噂ではあの徳川将軍家の血を引いており最後の将軍の落とし種(=隠し子)の孫とも噂される男の言葉に飛鳥の艦橋に居た全員は納得する……海軍きっての知略家で遠慮無しに具申する事から一時期は東京海軍駐在所送りになった予備役にされた経歴を持つ。その間に暇潰しと称して東京大学に通い心理学を学んだ秀才で彼は退役して研究者の道も検討始めたが時代はそれを許さなかった。橘らがクーデターにより政治と軍を抑えたと同時に彼は海軍本部に出頭命令を受けたのである、葵川と坂本海軍大将とは個人的な繋がりも無い事は本人も海軍関係者も知っている事実に葵川は戸惑いつつも出頭。予備役解除と同時に対ナチス独逸第三帝国艦隊決戦研究を要請されたのである……葵川も仰天し一度は辞退したがその場に言わせた橘次官が打ち明けた戦略に驚き、引き受けたのである。
 


亜米利加とはよりよい敗戦、即ち米国本土への最低限度の戦災で講和に持ち込む。そしてナチス独逸第三帝国を亜細亜各国と共に倒す。


次官の言葉に葵川は理解した、独逸はファシスト政権だ……講和してもまた戦争になる恐れもある。米国は今の所ファイスト化する兆候が無いので世論を動かせる。
「わかりました、でも妥協はしませんよ」
「ああ……そう言ってくれると助かるよ、暫くは亜米利加相手だが君が心配しない様にするよ」
坂本海軍大将はホッとした。

葵川は直ぐに後輩や造船会社に出向した馴染みの工廠技師らに連絡を取り研究会の目的を話した。主力艦を戦艦空母にする事は決まったが総旗艦を敢て戦艦にしたのは囮に出来るからだ。これも心理学を極めた異色の軍人である葵川はナチス独逸第三帝国軍内で起こる心理状況を推理し功名心に駆られて策に嵌めやすいと推理したのである。更に既存の空母は全てに装甲航空甲板化計画が始まり、今後建造する空母は装甲航空甲板化される事になる。
葵川達にとっても異存はない……問題は新型戦艦である。数々の新機軸を盛り込んだがはたして有効なのか?スケールダウンした模型では実際建造して致命的な欠陥が見つかる恐れもある。そこで葵川らはフルスケールで実験したのである……無論新型接着剤や木材加工実証やら合板加工の研究者や技師らも巻き込んだ計画であった。この船は標的艦として沈められると全員思ったが葵川は飛鳥の影武者として活用すると言ったのである……ナチス独逸第三帝国が同反応を示すのか見てみたいと言う事だ。新機軸戦艦は米国から拿捕した戦艦空母をベースに対潜/対空戦闘は勿論通信機能を高める事にする……艦隊運用には最大の難問がある、英国が日本との同盟に応じないと運用が難しくなる。開戦当時から英国の劣勢は明らかであるが米国との関係もあるとは言え時間の問題であった。葵川らにとっても太平洋戦線の膠着状態は願っても無い状況であった。

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