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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 43



数週間後、ポルコはヨルムンガントが分解されている海軍技研に足を運んでいた。
「やっぱあ、この手の航空機を作るつもりなのか?日本も?」
「それはないな……日本って言うのは四方を海に囲まれている島国だ。ここは飛行艇や水上機の運用次第じゃ米国も下手に手を出せない」
「Uボートもですか?」
「ああ、正直ドラッヘの様なヘリまで実用化しているとなると……海軍をおろそかにしたちょび髭も真っ青になるさ」
他の乗務員らも技師の質問に答え、ポルコらは作業を見守っていた。
「それよりもいよいよ極光艦隊が出撃するそうですよ」
「例の対独逸/英国救援艦隊か……」
かなり前から日英同盟の兆候はあり独逸軍内でも噂はあった。恐らく日本は艦隊を差し向ける……ヒトラーはUボートの大量投入する為に建造中のグラーフツェペリンさえも解体してその材料に充てる考えを示すも亜米利加国内に居るスパイからの報告はそうもいかなかった。米海軍の潜水艦の未帰還率が高い上に日本海軍も独逸第三帝国並に潜水艦や支援艦艇を配備、未確認だが重巡規模の潜水艦も配備されている事は陸軍出身のヒトラーも将来的に日本と対峙する際に補給をになう海軍が今のままでは陸軍がままならない、空軍も輸送機に力を入れているが積載量は船舶には及ばない。何よりも中東の石油輸送には暫くは海運が必要になる……こうして独逸海軍は何とかグラーフツェペッリンの解体を免れ二番艦であるペーターシュトラッサーの建造も開始する事が出来た。
その間にも独逸海軍は空母不足を補う為に伊太利のアクイラや仏蘭西の空母ジョッフルを接収したのも何時日本との戦争に備えての準備に過ぎない……最初は空軍や陸軍からの反発も見られたが戦線が拡大にするにつれて海軍の重要性を認識したのか反発は無くなっている。最も陸軍は本国との属国間の鉄道網敷設や整備のためにはどうしても海運が必要になる事情もあってトークダウンしたと言うのが実情だ。
「呉にある戦艦飛鳥が旗艦と言う事は聞いてはいるが……重巡空母、装甲空母、そして新機軸の海防航空艦で構成された艦隊か」
海防航空艦とは駆逐艦の発展型で装甲空母や重巡に対する航空機攻撃防御を担う戦艦だ。元になったのは西処女亜(=ウェストバージニア)を初めとする遊撃艦隊の戦艦群であり、艦首水面下に魚雷発射管を装備し後部にも旋回式魚雷発射管を装備した。高射角砲を揃えた新機軸である。支援艦艇としては明石型工作艦大島に数隻の琵琶湖型特等輸送艦が配備される……。
「注目するべきは琵琶湖型特等輸送艦だ」
「機長?」
「あの金属版で構成された箱、コンテナって言っていたなあれを積み上げるとは考えたな……あれは鉄道やトラック輸送も出来るように敢えてあのサイズにしたんだ」
「!!!」
「あのコンテナは前線では倉庫にもなる……無論戦車とかは積めないがバイクや小型軍用トラックは詰められる、木箱よりも耐久性がある。更にこの新型輸送艦は民間海運社も運営するらしい」
琵琶湖型特等輸送艦の特徴はコンテナ化した事により各種液体を運ぶタンクコンテナを搭載する事により従来の軍用タンカーよりも使い勝手がよく簡易空母化も出来るように設計されている。何よりも各民間海運会社に振り分けられており最初これを聞いた時には空母化の為に大型商船を提供した各民海運会社は驚愕したと言う。
しかも戦争終結後も可能な限り使ってほしいと言う申し出には唖然とした社長もいた。これには徴発した際に運用しやすくする為と言う目論見もある訳だが……兎に角、各海運会社には琵琶湖型特等輸送艦が使用され、貨客船としての運用する際には乗客の数に応じて追加船室と呼ばれるコンテナが使用された。これは各海運会社が共同で出資した研究会にさん貸していた国鉄の関係者が寝台車設計を応用出来ると見て提案して実用化された、後に災害時に使用される仮設被災者救援住宅のベースになる訳だが……この様に異業種同士が垣根を越えられるようにしたのも橘らのお陰である。日本海軍が考案したコンテナは亜細亜各国にも伝わり運輸の形態を変えようとしていた。
「悔しいがムッソリーニもこっちの首相と同じキレる男だとよかったがね」
ポルコはヤレヤレと言う表情で分解されるヨルムンガントを見下ろしていた。

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