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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 127

これも異例な事だが米国政府が如何にナチスドイツが核兵器を保有する事を阻止する為ならかつての敵まで利用する……無論米国にも空母機能を持つ強襲揚陸艦は出来始めていたが護衛空母サイズが数隻しかない。しかも何れも大西洋戦線所属なので太平洋戦線所属の海兵隊が空母型強襲揚陸艦を発注するにも時間がかかる……葵川がこれを聞いた時には先行き不安に感じた。
「C4ーS−A1第200号艇は既にハワイから沖縄那覇海軍基地に到着……そこで蒼龍に乗り換えですな」
「はい、この度は英断を感謝します」
「私としても核兵器は使われたらどうなるか……戦後の政治や経済すら大きな影響を及ぼすと見てます」
二人の英雄は国こそ違うが願うのはただ一つ……この戦争を終わらせる事だ。

沖縄県……前世は唯一の地上戦となり戦後は深く傷痕を残した地も橘らの尽力により最悪の自体は回避、シーレーン防衛の為の多数の海軍基地がある。那覇海軍基地は中でも最大であり、今ここに蒼龍が停泊している。
「なんてこったい、日本海軍はサラトガの様な船を強襲揚陸艦にしちゃうのかい」
「ソウリュウとよぶそうですよ……正直貨物船よりはマシですよ」
米国海兵隊の二人は唖然とするのも無理はない、空母型強襲揚陸艦はあるが護衛空母サイズ……。
「そんなに危険なのか?」
「何時のもやり方するとユダヤ人を虐殺しかねない……だから制空圏も制海圏を完全に把握する前に我々がいかないとダメだそうです」
確かに米海兵隊が使用する強襲揚陸艦は特設でも正規でも多くが貨物船タイプ、これをナチの戦闘機がうろつく所で揚陸させるなんて正気の沙汰ではない。お世辞にも教養が余りないこの二人の海兵隊員も想像が付く……。
「意外と寒くないな」
「ここは雪が降れば異常気象って言うところですからねぇ……ハワイと同じですよ、日本の海軍陸戦隊も中々のレベルらしいです。正直先代大統領が殉職して助かりましたと思います」
先代であるルーズベルト大統領は最後まで対日戦争勝利に拘っていたが想定外に日本は戦術と外交で対抗した事に誤算が生じた。それはアメリカ流政治戦略の敗北とも言える。
アメリカは建国以来の危機を迎えつつある……救いはそれが今の大統領とその側近らはよくわかっていると言う事実だろう。
「何がともあれソウリュウに慣れると言う事か」
波止場に停泊する蒼龍を見る二人の海兵隊員はヤレヤレと思う。



数時間後、司令部にて米国海兵隊太平洋戦線からの精鋭を束ねる隊長は日本海軍陸戦隊指揮官と握手する。
「マイク.ジェイソン大佐です」
「黒崎 丞太郎大佐です、この度の協力真に感謝します」
黒崎は蒼龍に常設されている陸戦部隊の長でもある。
蒼龍は近海防衛艦隊所属であるが当時占領地域である布哇諸島や南洋各諸島に数回程だが島嶼奪還訓練を実施している。無論防衛する方も身内であるが欧米各国ではペイント弾と呼ばれる模擬弾を用いた本格的な訓練もしておりその技術力は高い……が、不幸にも実戦となる機会は無く……強いて近いと言えば一昨年の台風災害にて甚大な被害を出したトカラ諸島群への救援部隊派遣だ。これには想定以上に米海軍太平洋戦線が布哇陥落&パナマ運河空襲、更にナチスドイツが予想以上に快進撃を続けた事で第二パナマ運河と要塞化でとても日本相手に太平洋を取り返す余裕が無かった。日本軍参謀部にしては幸運かもしれないが海軍陸戦隊にとっては不運であった。そんな時にナチスドイツが支配下に置くマダラスカル島上陸作戦は正に待ちに待った“実戦”である……しかし黒崎には不安が付きまとう、本当に自分達の訓練が正しいのか?最悪全滅(=作戦行動不可能人員に達する事)になる可能性すらある。そんな時に英国海軍参謀部から米国海兵隊精鋭らを蒼龍に載せて貰わないかと言う要請があった。

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