機動戦士ガンダムSEED Dα 閃光の少女 31
キラでさえも頭部を破壊出来ると思っていたが実際はツインアイの損傷である。初戦でこの程度の損傷なら腕前は高いとも言える。
「大体の事はロンド代表から聞いた、そして戦争を恐れているのはNJCのベースマテリアルになる鉱床が稼いで発見され、全体像はつかめてないが……大規模になる」
「−艦長の推測当たったなー」
「それに私が密航した船が遭難してしまった事もオーストレール政府が地球圏の各勢力に疑惑の目を向けた一つの理由になります」
惑星間を航行する際には冷凍睡眠機能が付与された救命カプセルが搭載義務があり、セトナの場合は五年前にあるジャンク屋によって回収、解凍された。ただセトナの場合は“オーストレールのシンボル”としての役割を与えられる筈であったが本人は嫌がり密航と言う手段に……それが遭難したと言う事は陰謀にも思える。
「ー本当にお前命拾いしたな、ヤマト准将は兎も角アスカ准尉もバルトフェルトはコクピット直撃を回避できるほどの腕前ではないぞ……ー」
モーガンに諭されたマーシャンの少年は不適に笑う……自信があるのだろう。
その頃、マーシャンのガンダム“デルタアストレイ”のブービートラップ(=核エンジン自爆等)はミナの人脈を介して大西洋連邦にも通達した……これをどう判断するかは大統領閣下に委ねることにして……正常なる判断を期待したい。ミナはアメノミハシラにある執務室にて天井を見る……本当に予想外に火星圏コロニー“オーストレール政府”の動向は読みづらい。悪質さなら大西洋連邦といい勝負になる……皮肉にも思えるが事実だ。
「ミネルバは……ほう、アスランを初めとするエース級を揃えてガルナハン攻略か……」
ふと手にした端末を見たミナは考える、誰かが言った“戦争と政治とは参謀がするチェスである”……。これが同時に複数進行しているのが今の戦争だ。
数日後、マーシャンの使節団はミナやジャンク屋組合の仲介もあってかスカンジナビア王国への公式訪問が決まり、ユーラシア連邦政府にも行く事になる、やはりデルタアストレイの物騒過ぎる仕掛けが政府首脳らに知れ皮肉にもこれが功を奏したのだろう……大西洋連邦政府も軍部との協議をしていると言う。プラント政府も把握しておりデュランダル議長としてはオーストレール政府に釘を刺したい所だ。アスランはプラントにて議長直々から特務隊“FAITH”に任命、その直後にディアッカ、イザークと共にニコルとミゲルの墓参りをした後にミネルバに合流していた。
「−苦労しているなぁ、イザークで慣れてなかったのか?ー」
「ディアッカ、イザークの方がまだ良い方だ……アイツはぁ」
無断で敵前線基地を攻撃してヒヤりとしておりアスランも気苦労が耐えない。
「ーははっ、やはりオーブ解放戦争のあの時を思い出すだろうな、そこって連合が現地住民を強制労働していただろ……情報部は大喜びしていたなー」
「……」
ジト目になったアスランを見たディアッカは思うがイザークがまともに思えるとは……アカデミーからの付き合いだからか。
「ーマーシャンの使節団団長を不当に拘束した連中は“ファントムペイン”と呼ばれる連中だ……バリバリのブルーコスモス思想感染者、恐らくアーモリーワンを襲撃したのはー」
「奴らか……」
「ーああ、アクタイオン社の改修型MSとザフトから奪ったMSを使っているー」
ディアッカは嫌が予感がした。
ミネルバは何時かアークエンジェルとの戦闘に入る事は時間の問題だ……とは言えカガリの拉致をオーブの影の軍神が知らなかったとは考えにくいし、阻止しなかったのは……荒療治にも程がある。
「−ラクス嬢によろしくなー」
「(一体どちらのほうだ)」
アスランも辟易しつつも部屋を出てMSデッキに向かう。
「セイバーの整備に問題はないな」
「OKです、空中戦特化型ですからバビと共通している箇所が多いですから」
ザフトはディンの後継機として“AMAー953 バビ”を投入、航空機型MAに変形機構を持ちここら辺はカオスやらの系譜になる……ただし変形機構はセイバーの方が複雑である。
「イージスの様に自爆させる訳にはならないな……」
ボソッと呟いたアスランを見たルナマリアが声をかける。