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All right
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All right 8

「うん…ありがと!!」
明希が笑顔を浮かべる
「何かあっても俺がついてるからな」
「うん」
いーい雰囲気で並ぶ二人
普通ならここで口づけの一つや二つや三つや四つするところではあるがそうは問屋が卸さなかった
良いタイミング?で屋上に人が上がって来たからである
「こら、そこの不純異性交遊中の二人! 天陽祭が近いからといって、俺の授業をサボることは赦さん!
 とっとと着替えて体育館に集合せんかっ!」
「げ、鬼の伝二……」
 声の主は伝二勇三(でんじ ゆうぞう)、体育教師で通称『鬼の伝二』。
 いわゆる熱血漢で、天陽祭前のこの時期に未だに普段通りの授業を展開しようとする数少ない教師である。
 時計を見れば、確かに授業開始時刻が迫っている。殆どの教師が授業を棚上げしているせいで時間感覚が麻痺していたらしい。
「いっけない、早く更衣室行かないとロッカー取られちゃう!」
「こら、まだ話は終わって――」
 伝二の怒鳴り声を無視し、二人は更衣室へと走った。
 最初の悲劇へのカウントダウンは確実に進んでいた……



「ないっ! あたしのオルゴールがないっ!」
 授業の終わったばかりの女子更衣室に、京の悲痛な叫びが木霊した。

「脅迫状は本物だったんだ…」
放課後、京のオルゴール紛失の騒ぎで教室に残っていた悟がつぶやいた
「でもさ〜なんで京なの?その脅迫状明希に送られてきたんでしょ?」
茜が言う
「確かに、そこが引っかかんだよな〜」
そう言うと椅子にもたれかかり眉間にしわを寄せる
「う〜ん…」
あわせて茜も腕を組み唸る
と、京の様子を見に保健室に行っていた明希が帰ってきた
「京ちゃん、落ち込んでた」
それはそうだこの学園で触媒を紛失するということはほぼ『退学』を意味する
「どうしよう…私のせいだ…」
明希がつぶやく
「私のせいで京ちゃんを巻き込んじゃったんだ…」
「違うよ」
自分を責める明希に悟が言った
「悪いのは脅迫状の主だ、明希は悪くない」
まっすぐ明希を見る
「…ありがとう」
悟の言葉に笑顔を浮かべた
「ところで、京には脅迫状のことは?」
「言えるわけ、ないよ。今の京ちゃんの耳にそれが入ったら、それこそ追い討ちになっちゃう……」
 茜の問に顔を曇らせ、明希の語尾は小さくなる。
「でも、こういうことが起きてるとなると、やっぱり学校にも知らせた方がいいのかなぁ……」
「ダメだ!」
 急に声を荒げた悟。茜も明希も思わずびくりと肩を竦める。
「な、なんでよ? もし天陽祭が中止になれば、予告がそもそも成り立たなくなって――」
「――そして明希を責める人が増える。人の口に戸は立てられないから、明希には何の責任もないのに中止になった責任を明希に求めようとするんだ。
 犯人が見つけられない状態で、一番スケープゴートになりやすいのは間違いなく明希だと思う」
 一息置いて、だから、と悟は続ける。
「おれたちで犯人を捜して、捕まえられないかな」

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