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All right
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All right 13

「いいなぁ…『あの人』とあんな親しげに…。」
…嫉妬と羨望の視線を送る…彼は懐に忍ばせた一通の手紙を握り締めた。
「好きになってもらえない…かもしれないのはわかってる…でも僕が草波の陰から守ってあげるから…。」
ここ最近、明希の周囲でちらつく不審な人影に気付いているのは悟や茜だけではなかった。
『彼』は彼なりの方法で明希を守ろうと奔走していた。それが新たな誤解を生んでいるとも知らずに…。
目元まで隠れる『長い髪』を掻き上げると『彼』はおもむろに懐から黒光りするモノを取り出し、足早に歩き出した。


「……そういえば、あれ以来犯人からの犯行声明は届いてないのか?」
「うん、あれから怖くてロッカー覗いてないから……」
 伏し目がちに言う明希に、
「だったら、今から行ってみよ。虎穴に入らずんば虎児を得ず。私たちもついてる事だし、何か犯人の手がかりが見つかるかもしれないしね」
 意気揚々と言い放つ茜。
…明希のロッカー…封筒を手にした不審な人物…。
「とうとう尻尾を掴んだわよっ!」
凜とした、声高々に茜が立ち塞がる。
「あ…いや、これは…。」
『こんなこともあろうかと!』明希のロッカー付近にシールを配置、怪盗Xの出没に備えていた茜だった。
「確かに…文化祭の役職に就いてる生徒なら…授業中だろうがなんだろうが、他クラスへの出入りも自由よね…?」
ワンテンポ遅れて悟と桜が駆け付ける…そして誇らしげに、ふふん、と不審者を指差す茜。
「怪盗X…いえ坂本流馬!」
ドオォーン!

「何にもわかってない…何にも見えてないよ君達…?」
封筒を叩きつけ、わなわなと肩を震わせる瓶底眼鏡。
「なぁに、今度は逆ギレ?何が見えるの?妖精さん?毒電波?」
怒りにまかせる桜をなだめる悟。
「…事情ぐらい聞いてもいいだろ…なんか俺達の知らない事も…。」
「黙ってなさい役立たず!」
口論する悟と桜、そして威風堂々ポーズをキメる茜。
『こんな連中と関わってる場合じゃない…まだ近くに居るかも…』
瓶底眼鏡は我に帰り教室を抜け出す。入れ替わりに明希が入って来た。
「何してるの?」
はっ、となる三人。
『明希!』
口々に事件解決だとか、アイツに変なコトされなかった?とか大騒ぎする三人に対し、戸惑いながらもロッカー…顔面蒼白、半開きになった自分のロッカーを指差す。
…そこには、先日脅迫状と同じ柄の封筒…。
「封筒が…ふたつ?」
怪訝な顔で手を伸ばす茜を桜が制した。
「ダメよっ!ア〇バ系逆恨みストーカー野郎なら手紙爆弾ぐらい…」
「ばーか、なんかの見過ぎだって。」
悟の一言にブチギレる桜を無視してロッカーの手紙の封を切る茜。

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