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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 9

そんなことを考えつつ、課題である漢文に集中し、一気に終わらせる。分からない場所は完全に飛ばしているが。
「ふぃ〜、これで終わりっと。分からない所は分からないし……まあいいか」
体の力を抜いて机に身を預ける。一時期流行ったたれパンダともいえるだらけ状態の洋平に気配を消して誰かが近づく。
「ふぅ〜」
「うひゃっ!!」
その主は油断していた洋平の耳に息を吹きかけ、驚いた洋平は体を反射的に跳ね上がらせる。
「うひゃっ、だって♪可愛い♪」
「山根、おまえかよ!!ったく、マジビビったぞ。んで、どうした?」
悪びれた様子も無くカラカラと笑う長身の女子生徒、先ほどの話題にも出ていた山根 由紀だ。少々、呆れつつも洋平は背を起こす。
「ちょっとお願いがあってね」
「お願い?」
「そう。課題の答え見せて!!」
手を顔の前でパンッと合わせて頭を下げてくる由紀。
「答え見せろってなぁ、おまえ。駄目に決まっているだろうが。少しは自分で考えろよ」
「いやー、こういう頭を使うのは苦手だからさぁ」
「ったく、仕方が無いな。答えは見せるつもりはないが、多少なら教えてやる。けど、俺も出来る所しか教えてやれないからあまり当てにするなよ。で、どこからどこまでだ?」
と彼女は苦笑する。洋平も仕方が無いなと言いながらも付き合ってやる事にしたようだ。
なんだかんだと言いながらも洋平も由紀と一緒に馬鹿をやれる空気は悪くないと思っている。
「えーとここからここまで」
「ほぼ全部じゃねぇかよ!!」
彼女が示した範囲は全部だった。関西の漫才ばりに速攻で洋平はつっこみを入れていた。
「そんなこと言わないでさ、頼むよ。」
由紀は両手を合わせて洋平を拝むようにして頼み込んでくる。
なまじ美人なだけに、こうされると洋平も断りにくい。
「あー、しょうがねえな・・・。どれ、まずこの問題はだな・・・」
洋平は同性の友達に対するようなノリで教え始めた。
「わりぃなあ。それにしても漢文って、返り点やらなにやら、字の順序がややこしいから不便なんだよな。英語のほうがまだしも頭こんがらがらないだけいいよな。」
由紀は気安く言った。
「中国語を無理やり日本語で読むなんて芸当の産物だからな。昔の人はやっぱり凄いよ。表意文字じゃなきゃ多分こんな真似は無理だろうな。」
長身をかがめてノートを見る由紀に、洋平は答えた。
周囲では、同じように教えてもらう奴や、教えあってる娘たち、終わったのかだらけている奴もいた。

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