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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 8

埒が空かないと思い、女子生徒は妥協する。短い栗毛色の髪が揺れる。
「あいよっと。そう言えば、自己紹介が……」
と言いかけて始業のチャイムがなる。
「やべぇ、チャイムがなっちまった!!」
と急いで保健室から飛び出す。
「魚崎 洋平!!」
「えっ?」
きょとんとして間抜けな返事を返す女子生徒。
「俺の名前だ」
そう言って廊下を走って洋平は自分の教室に向かう。
「私、野々宮 光恵よ!!」
叫んで、声届いたかなと思いながら、光恵も教室へと急いで戻った。





昼休みは一人で学食の日替わりランチを食べ、覗き計画の最終確認をしている男子生徒達に呆れながら古武術の基礎本の続きを読む。
「なるほどねぇ〜。古武術は活用することで生活動作も楽に出来るんだ。これは意外だ」
後で実践してみようと思いつつ、基礎本を読みふけっている内にチャイムが鳴る。午後の授業は身体検査で全て潰れ、代わりに課題を出されていた。
身体検査の順序は各学年A組から始まる。担任が出て行った途端に気が抜けた生徒達は互いに雑談をしたり、だらけきった様子をみせた。
無論、課題もやりながらではあるが。しっかり内申点に付けると担任に脅されているからだ。もちろん、内申点がやばい生徒は必死である。
暫くすると男子生徒の数人がトイレに行くと言って出て行き始める。怪しいとは皆思いつつも、覗きでは無いとアピールする男子生徒達。
だが、それが嘘であるということは洋平はわかっていた。けど、止めない。厄介ごとに巻き込まれるのはうんざりだから。
「というか、家より学校の方が安息の地ってどういうことよ俺」
と一人突っ込みをする始末である。なんせ、あの江戸っ子口調で豪快で人の都合などお構いなしの強引な親父である。こっちの都合などお構いなしの傍若無人ぶりである。
そんな完全に気が抜けていた正にその時……

ちゅどーーーん!!

と響き渡る爆発音。科学部が何かやらかしたか!!だの、調理室のガス爆発か?だの、生徒達の間に憶測が飛ぶ。
窓から下を見ると目を押さえたままの男子生徒がふらふらしながら逃げようとするのが見えた。
「あー、ありゃ結局みつかったんだな。合掌」
「ミリタリー部の罠は結構過激だからな」
ご愁傷様とばかりに手を合わせる反対派の男子生徒の2人。この騒ぎになっても動じない男子生徒の方は慣れているからだろうか?
「俺としてはこれ以上日常からかけ離れたくないんだけど」
とボソッと洋平が呟く。時計を見ると自分のクラスの番まではまだあった。おそらく今は2−B辺りだろうか?

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