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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 63

大成が家の正門から出てきた所でこちらへ向かってくる男。
「大成さん、そいつ捕まえて!!」
どうやら、やましい事があるようでストーカーは逃走を図ったようだ。
「邪魔だぁ!!」
大成を体当たりで退けようとするストーカーに対し、彼は振り払った腕を掴んでそのまま背負い投げでストーカーをアスファルトに叩き付ける。
「おかあさーん!!」
涙と鼻水でぐしょぐしょにしながらも続いて出てきた菫に綾奈はひしっと強く抱きついた。
「君かい?うちの娘を泣かしたのは?大の大人が少々大人気ないな」
穏やかな言葉遣いだが、目は底冷えがするほど冷えていた。
「あー、おまえ!!どっかで見たと思ったら柏原に付き纏っていた奴!!」
ストーカーの容姿をこの前の携帯カメラでの映像を覚えていた洋平が声を出す。
「ち、違う!!俺はそんな事……」
慌てて弁解するが、証拠もある以上どうしようもなく、諦めるしか道はなかった。
後に判明するが留守電の声紋もダイアルログもストーカーの物と一致して動かぬ証拠となった。
「菫姉さん、悪いけど警察に電話して!!ストーカー捕まえたって!!」
「分かったわ」
菫が警察に電話して30分、警察に引っ立てられ、ストーカーは御用となった。
こうして、一連のストーカー事件は無事に幕を閉じた。
「本当に、ありがとうございました。」
望が深々と頭を下げる。
その日、高丘家ではストーカー事件解決祝いが行われていた。
メンバーは高丘家の3人と望、それに洋平と絵美となぜか絵莉もいた。
明るい笑い声が聞こえる中、望はそっと絵莉と絵美に相談をしていた。
望の表情は何だか暗い。
「ストーカーは捕まったけど、どうしたの?」
「それはそうですけど、もうこの生活も終わりって思うと……数日間だったけど寂しいなって思って」
「なら、居てもらってもいいわよ」
その話を聞いていた菫がなんでもないように軽く言う。
まるで塩が無いから買ってきてと言わんばかり。
「す、菫姉さん!!なんで、相手に気を使わせる事をさらりと言うかなー!!」
「そ、そうですよ!!これ以上迷惑をかけるつもは……」
洋平と深美がパニックになりながら慌てる。
「少なくとも私達一家は迷惑なんて思ってないわ。綾奈も懐いているようですし」
「もちろん、君が家に戻るなり、留まろうとするなり、どっちを選ぶかは君の意思を尊重するよ」
わんやりと2人を落ち着かせながら菫が、微笑みながら大成がそれぞれ口に出す。
「ただし……自分できっちり決めて、両親と話し合ってから来る事。俺達は君の両親じゃないし、君の両親の意思を無視して強引に、後味悪いようにはしたくないからね」
しっかりとけじめを付ける様に大成が深美に釘を刺さした。

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