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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 61

こうして柏原 深美の高丘家下宿が決まった。
その日の内に必要な荷物をボストンバッグに入れて深美が洋平の家に向かう。
当然、ストーカー男が着いて来る事は予想していたが、洋平が自宅前で絵美と共に待ち合わせして高丘家へと向かう。
そして、高丘家に到着し、洋平がインターホンを押す。
「こんばんわ、菫姉さん」
「あら、洋平君?いらっしゃい」
出迎えたのは菫と後ろから走ってくる綾奈だった。
「おう、綾奈ちゃん。元気にしていたか?」
「うん♪」
体当たりで抱きついてきた綾奈を洋平は抱き上げる。
返す返事も元気一杯とばかり溢れている。
「お邪魔します」
控えめにおずおずと深美があいさつする。
「あなたが柏原さん?私は高丘 菫。ここを自分の家と思って貰っていいから。私も日中居て、家を開けないようにするから」
「ご迷惑掛けます」
「いいのよ別に。それに買い物は大成さんに任せればいいし」
「ははっ、俺は買い物係かい?菫」
と苦笑いを浮かべながら大成が二階から降りてくる。
「それも仕方が無いか。おっと、自己紹介しないとな。ここの家主の高丘 大成だ。よろしくな、お嬢さん」
「すみません、こちらこそご迷惑おかけします」
深美と高丘家の初対面は幸先が良いように思えた。



その一方で電柱に隠れながら追跡していたストーカー男はぶつぶつと恨みを吐いていた。
「くそっ、くそっ!!せっかくの僕の望ちゃんとの時間を邪魔しやがって!!こうなったら、あの家にも仕掛けてやる!!」
どうやら、高丘家に不法侵入する気満々なご様子。
「それに幾らなんでも四六時中一緒じゃないんだ。さっさと排除して僕の望ちゃんを返さないと。ぐふふっ……」
しかし、彼は知らない。
しっかりとそういう事に対策を取っているのを。
あの大成さんが居ない時の事を考えていない訳がない。
それは朝になって思い知らされる。



翌朝……
「それじゃ、行ってくるね」
菫から鞄を受け取り、綾奈の手を取る。
「いってらっしゃい、あなた。綾奈」
「いってらっしゃい、大成さん、綾奈ちゃん」
「お母さん、いってきま〜す♪」
ドアノブに手を掛けかけて、ふと見送りに来ていた深美へと振り向く。
「柏原さん、君もだよ。学校へ行く準備は出来ているんだろう?」
「そうですけど、まだ早すぎるのでは。歩いても行けますし」

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