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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 58

「たまにはメイド部にもいらしてください。」
冬美に言われ
「うん。お邪魔させてもらうよ。」
洋平は笑顔で応えた。
「ではサービスさせていただきますわね。」
「えっと君は……」
「2年の河原真衣と申します。」
もう一人のメイド部員が軽く頭を下げる。
「私が色々教わってるん先輩です。」
冬美が付け加えるように言った。


「魚崎君、試合見てたよ」
冬美から受け取ったタオルで汗を拭っていると絵美が労うように声を掛けてくる。
「ははっ、かっこ悪い所を見られちゃったな」
と苦笑しながら洋平は答える。
(魚崎君、いつもより良い匂いがする)
男性の汗と言うのは体臭と伴ってフェロモンが発散されているという。
その発散させている相手が好きな人ならなおさら効果があるのだろう。
絵美の心臓は無意識とはいえ、フェロモンの煽りを受けて早鐘を打っていた。
(やだ……顔が熱くなってきた。真っ赤になっちゃっているよね)
体温が上昇するのを自覚して俯くが
「あれ?斉藤、風邪か?随分と顔が赤いぞ」
無自覚な洋平は絵美の額に手を当てる。
片思いの相手に触れてもらっているという事を自覚して絵美の頭の中がパニックを起こし……
「きゅぅ〜〜」
思考の許容量をオーバーフローして意識を手放した。
「おい、斉藤!!大丈夫か!!しっかりしろー!!というか、あらぬ疑い掛けられる前に目を覚ましてー!!」
気を失った斉藤を呼びかけつつ訳の分からない事を口走っている洋平も若干混乱気味だった。



(斉藤?確か、エリさんの本名も斉藤だし、妹が居るって言っていたわよね?もしかしたら)
そして、群集に混じって洋平の試合を見ていた深美も同業者である絵莉との話を思い出していた。
家に帰ればまたあの気持ちの悪いストーカー男のメッセージが留守電に入っているだろう。
なにより、エリとは携帯電話で話し合うほど仲がいい。
その日の夜、深美は絵莉に携帯電話でストーカーに付き纏われている事を打ち明けた。
「なんでそういう事、早く言わなかったの!!」
「絵莉さんに迷惑が掛かると思って言い出せなかったのよ」
消沈気味に返す深美は精神的に追い詰められていたのだろう。
常に部屋の中を見られ、聞かれ、気を張り詰めっぱなしだった。
「だからと言って黙ったままじゃ手遅れになる可能性だってあったわよ。下手したら押しかけられてレイプされて殺される場合だってあるんだから!!それで、警察には?」

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