PiPi's World 投稿小説

パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 55
 57
の最後へ

パニックスクール 57

互いに礼をして構える。
「始め!!」

両者の手が互いの襟を狙い、応酬が始まった。



「大成さん、ぜんぜん腕落ちてないじゃないか。まあ、負けるのは予想通りだったから悔しくないけどさ」
「ははっ、そう思うだけだよ。やっぱり前より腕が落ちているさ。それにしても洋平君は結構腕をあげたね。
前より確実に強くなっているよ。寝技を持ち込むタイミングも上手くなってきているし、正直何度かひやりと来たよ」
「そう言って貰えると光栄ですよ。」
「ははは。」
洋平の返事に、大成は笑って応じた。

「熱い試合でしたね。こちらをどうぞ。」
メイド部の娘が2人、大成と洋平にそっとアイスレモンティーを差し出した。

「菫から聞いてはいたけど、この学校は凄いね。メイド部まであるとは。」
感嘆した口調で大成は言った。

同時に洋平にも同じくアイスレモンティーが差し出された。
「魚崎先輩、こちらをどうぞ。」
受け取ろうとして彼女の顔を見た洋平は思わず言った。
「あれ?石原さん?さっきはありがとう。でもメイド部と掛け持ちなんて凄いね。かなり忙しいんじゃない?」

この学校ではメイド部がある為に、各クラブではマネージャーがいないか、いてもマネージャーに必要な知識の多い一部の部活に限られる。
いわばメイド部は各部のマネージャーを集成して1つの独立した部活動にしたような部なのだ。
ちなみに、翠泉学園では部活動の掛け持ちは認められているが、かなり忙しくなる為実際に掛け持ちする生徒は少ない。

洋平に言われて、「石原さん」は微笑んで答えた。
「私なんか凄くないですよ?それに私、メイド部一筋ですし。」
「それってどういう・・・・??」
ちょっと混乱気味な洋平。
「それはこういうことですよ。ね、夏美。」
石原さんは最後は洋平の背後に向かって言った。
「こういうことなんです。」
振り返ると、さっきの「石原さん」。
2人を見比べるが、カチューシャがある為に髪型は違うが、顔立ちはそっくりで驚く洋平に、2人が言った。
『私達、双子なんです。』
「おや、双子の美少女かい。珍しいね。」
大成が割り込んだ。
柔道着姿の娘が明るい笑顔で言った。
「私、柔道部員で1−Bの石原夏美(いしはら なつみ)です。」
メイド服の娘が明るい笑顔で言った。
「私、メイド部員で1−Cの石原冬美(いしはら ふゆみ)です。」

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す