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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 46

「は、はぁ……」
気さくな言い方をする玄太郎の勢いに呑まれ、和久は曖昧な返事しか返せない。
「ところでよ、あんた。いける口だろ?そこの坊主もどうだ?」
後ろ手から玄太郎が出してきたのは泡盛。それも一升瓶が二本。
「坊主呼ばわりですか」
ははっと苦笑を漏らす和武。
「おうっ!!俺からみりゃまだまだてめぇは坊主だよ」
玄太郎なりの未熟だと言う言葉だった。
「見た所家族で外食と言ったところだろ?だったら、せっかくの宴だ。いい思い出になるようにパァーと盛り上がろうぜ!!」
「ああ、そうだな。そうなるようにしなければな」
と和久も家長と同意した。
「っとその前にだ。こいつは俺からの奢りだ。代金は別にいらんぜ。悪いが、主人。ご飯をどんぶりに入れて持ってきてくれ。五つな」
「ああ、分かった」
玄太郎に言った所で無駄と悟った料亭の主人が出て行くと持って来ていた桶の中からパックを取り出す。
「こいつは日本酒と醤油を混ぜたものに漬け込んだマグロだ。あんたらが来る8時間前に漬けたからいい頃合になっているはずだ」
「失礼します」
再び襖が開いて従業員がどんぶりのご飯を持ってきた。
「実はよ、マグロにゃこんな食い方もあるんだ。あんたらからしたらしみったれてるかもしんねぇけどよ。漬けマグロをご飯に乗っけてっと。お茶を注いで、少し蒸らせばマグロ茶漬けってわけよ」
漬けマグロをご飯に乗せて、お茶を注いで蓋をしてから自分の分も含めて生田家の面々の前に置く。
「おし、いいぜ」
玄太郎の声をきっかけにそれぞれが蓋をあけるとマグロが蒸らされた匂いが漂ってきた。
「いただきます」
きっちり挨拶をしてから玄太郎は一気にマグロ茶漬けを掻き込む。
「おおっ、染みこんだ酒の味がなんとも」
「それに素朴な味なのにおいしい。作り方も簡単そうですし」
和久と都がマグロ茶漬けの美味しさに感想を漏らす。
「醤油に漬け込んでいるのに辛くないし、ほんのりとしたお酒の味が癖になりそう」
夢中で食べている内に和恵のどんぶりは既に半分が無くなっている。
「だろ?嬢ちゃん」
にっとサムズアップして笑う玄太郎。
「っと、そういや自己紹介してなかったな。おらぁ魚崎 玄太郎ってんだ。こっちには臨時の調理として助っ人に来てんだ」

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