PiPi's World 投稿小説

パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 45
 47
の最後へ

パニックスクール 47

「生田 和久です。こちらは妻の都と息子の和武、娘の和恵です。しかし、助っ人となりますと普段は何を」
「魚屋だ。それも庶民向けのな」
「魚屋ですと?これだけの腕を持っているのにですか?自分の店を持とうとは思わないんで?」
持ってきた泡盛を和久と和武の分を注いでから渡す。
「ああ、別に思わねぇな。どっちかというと、気ままに魚捌いて売って、自慢の一人息子と馬鹿やって、近所の人と世間話する方が俺には性にあってら」
そう言って、コップに入れた泡盛をぐいっと飲み干して、玄太郎はその辛さにくぅーと声を上げる。
「まっ、機会があれば買っていてくれ」
とやや赤ら顔になって玄太郎は自分の店をちゃっかりと宣伝していた。

さて、玄太郎の宣伝した魚崎商店に視点を移す。
「はぁ……とりあえず今日のところは大体終えたかな……」
夕飯の買い物の時間を乗り切った洋平は溜息を吐いた。
「あ……あの……魚崎君?」
「おぉ、斉藤悪かったな。」
洋平はいつもの調子に戻り絵美に礼を言う。しかし、
「……ううん……役に立てて……良かったわ……」
絵美は洋平に視線を合わせようとしない。まだ昼の事を引き摺って居る様子だ。
「斉藤、お前なぁ……」
「ねえ……魚崎君?」
「何だ?ってかこっち見て話せよ。」
「じゃあさ……これから私の言うこと聞いてくれる?」
「……う〜ん…死ねとかじゃないだろうな。」
洋平は絵美に確認を取る。すると絵美はクスッと笑い
「まさか……」
と言う。
「内容に寄るが……とりあえず言ってみろよ。」
すると絵美は意を決したように顔を上げ、
「私とデートして。」
と言った。
「あ……あぁ……今度バイト代の代わりにコーヒーとケーキくらいならおごるって言ったよな?」
洋平はとっさにそう返した。
「そうじゃなくて……遊園地とか……プールとか……良かったら一緒に……」
絵美は沸騰しそうな勢いで言う。
「……そ…そうか……。よしGW明けの次の週末、明けとくから。その時行くか。」
洋平はそう答えた。
「……うん。ありがとう。」
絵美は瞳から涙を流した。
「斉藤?如何した?」
「ううん……嬉しくて……」
「大丈夫か?」
「うん……ゴメンね……」
絵美は涙に濡れた顔に笑顔を湛えた。

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す