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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 35

と洋平が苦笑いを浮かべる。
夕日の中を2人は自転車を走らせる。
今日だけでも洋平が由紀を女と感じる一面が多かった。
由紀もまた洋平の子供っぽい部分を見ることが多かった。
「ふぃー、やっと戻ってこれたぜ」
額の汗を拭ってそれぞれの家への分かれる交差点の前で一旦自転車から降りる。
「あのさ、洋平」
「ん?なん……」
少し沈んだような声に洋平が由紀に振り向くと同時に、口に暖かい感触がした。
ほんの少し経ってから気付いたのは由紀にキスをされたという事。
「私、まだ諦めてないから!!また、明日!!」
顔が真っ赤なのは夕日のせいか?それとも照れて血行が良いせいか。
早口でまくし立てて、洋平から逃げるように由紀は自転車に乗って交差点から自分の家へと遠ざかっていく。
「明日って……どんな顔して学校に行けと」
今更ながらぼそっと独り言を漏らした洋平だった。

「はぁ〜。あ、おはよう。」
「よう、GW中日の登校にお疲れ気味か?」
級友が話しかけるが洋平は
「あぁ……まあそんなところだ。」
「今日が休みだったらな〜。」
「それ……スゲー同感だ。」
洋平はそこまで言うと、机に突っ伏す。
「おはよ〜。」
明るい女子生徒の声がする。
(誰か来たな。)
顔を上げた洋平はその生徒と目が合った。
「おはよ〜洋平。」
「や、山根……お、おはよう……」
「ん?如何したの?」
(あいつ……どういう神経だよ……)

キーンコーンカーンコーン
「演習問題を解いてみなさい。周りと相談しても宜しい。」
数学の演習問題が出される。
「ねえ洋平、ここどうやるの?」
由紀が洋平に聞くが、
「や、山根、今忙しいから……他のやつに聞いてくれないか?」
と返す洋平。
「良いけど……もう終わってんじゃん。」
「み、見直ししてるんだよ。」
「ふ〜ん……」
昨日のキスされたを思い出してしまうと由紀の事を妙に意識してしまい、洋平は視線をまともに合わすことすらできなかった。
態度もよそよそしくなってしまい、今朝からずっとこの調子なのだ。
当の本人である由紀は何事もなかったかのように接してくる。
(うがー、初心なねんねじゃあるまいし!!考えるな、山根の事は考えるな!!)
心中で考えないように意識すればするほど逆に昨日の帰り際の不意打ちキスを思い出してますます由紀を意識してしまう。

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