PiPi's World 投稿小説

パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 31
 33
の最後へ

パニックスクール 33

「おい、山根結構速いな。」
「へっへ〜。」
洋平も由紀も変速機つきの自転車に乗っている。遠乗りを考えたマウンテンバイクに乗る由紀と、オンロードでの速度競技に適したロードレーサーに乗る洋平は、国道の車道左端を疾走する。
時折後ろから来た自動車が二人を追い抜いていくが、それほど交通量が多いわけでもなく、二人は良い気持ちで風を切り大宮を目指していた。
「フンフ〜ン……フフ〜ン……」
体を動かしたことによってストレス解消になり、晴天の中を気持ちよく走ったこともあり、最初は乗り気でなかった洋平の口からも鼻歌が出る。
「ねえ、そろそろ一休みする?」
と由紀が訊く。
「そうだな。」
洋平が同意すると由紀は後方を確認した後歩道に入り、自販機の前で止まる。
「ふぅ〜、こういう日のサイクリングって良いわね。」
ヘルメットとサングラスを外し、二人は飲み物を買う。
「誘ったのは私だから驕ってあげるわ。」
「あ、悪いな。(……ドキッ!!)」
礼を言い、由紀を見た洋平は、上気した由紀の顔に心臓が跳ねた。
(なんか……コイツって……男友達みたいに思ってたけど……)
「如何したの?飲み物に迷ってるの?」
由紀の声に洋平は
「あ、悪ぃ、じゃあ山根と同じので。」
「そう。」
チャリン チャリチャリン
ピ ゴトゴトン
「はい。やっぱスポーツドリンクが無難よね。」
自販機で購入したスポーツドリンクを洋平に放り投げる。
「おっとと。サンキュ」
投げられたスポーツドリンクを危なげに洋平が受け止め、プルタブを開ける。
よほど喉が渇いていたのか、2人ともごくごくと喉を鳴らして胃に流し込む。
「ぷっはぁー、生き返る」
「洋平、おじさん臭いよ」
「うっせぇ!!」
由紀の軽口に返すと同時に視線を向けて……思わず、洋平は噴出した。
「うわっ!!もー、汚いなぁ」
「お、おまっ、透けて……」
「あはっ♪どう?ぐらっと来た?」
正直、色っぽかった。普段、男っぽい所が目立つ由紀だがこういう事は洋平も意識してなかった。
だが、認めるのもなんか悔しかったので
「いやー、どっちかというと背伸びしすぎてまだ早すぎ、へぶっ!!」
「悪かったわね!!」
憎まれ口を叩くと同時に飲み干したスポーツドリンクの缶を由紀が全力で洋平にぶつけた。

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す