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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 32

「さ、出掛ける支度して。」
一方的にいう由紀に
「は?」
と訳が分からずに問いかける洋平。
「山根、急に如何したんだ?何も約束はしてないつもりだった……」
その洋平の言葉を遮り由紀は
「私がせっかく誘ってあげてるのに結構冷たい反応じゃない?」
とやや刺々しい言葉遣いで言う。
「そんな事言ったって……行き成りすぎるだろ。それにこっちは朝早く起こされて眠いんだよ。」
「じゃあ目を覚ませてあげようか?」
何かを企んでいるようにいう由紀に思わず後ずさりする洋平。
「遠慮させていただきます」
「よろしい♪それじゃ、店の前で待っているから着替えて来なさいよ」
そう言い残すと由紀は洋平の部屋から出て行く。
階段を下りる音がして部屋から離れたと言う事が分かると別に良いかと洋平は思い、普段着に着替えた。



「やっと起きたか、坊主」
にやにやと笑う玄太郎を見て、機嫌が悪いのを隠さずに表情に出す洋平。
「年頃の女を男の部屋に通すなんてどういう了見だ?このクソ親父」
「目覚ましにしちゃ、効果抜群だったようだな!!ガッハッハッ!!」
「ふざけんな!!効果抜群どころか心臓にわりぃんだよ!!何考えてんだよ!!」
からかう玄太郎にムキになって怒る洋平。そこに……
「洋平。なにやっているの?早く行こうよ〜」
「わーったよ。ちょっと待ってろ」
店先に顔を出すとそこには自転車にまたがった由紀が居た。
「あれ?自転車?」
「そうだよ。言ってなかったけ。部屋に篭ってばかりだと体に悪いからね」
「言ってないし、聞いてもいねぇ。ちょっと待ってろ。自転車取ってくる」
自分の自転車を取りに洋平は店の裏口へと向かう。
暫くすると、自転車を押しながら裏口から出てきた洋平が戻ってくる。
「んで?何処へ行くんだ?あまり、金に余裕がねぇから金が掛かる所は勘弁してくれよ」
「大宮だよ」
「おいおい……だから、金が掛かる所は勘弁してくれって言っているだろ?電車代だけでどれだけ……」
「電車で行くんじゃないよ。自転車だよ」
何を言っているのとばかりに由紀は平然と行き先を告げた。
「自転車……って駅までだろ?」
「違うよ。大宮まで自転車で行くのよ。片道二時間程度だし国道17号線に沿って行くだけだから」
「マジか……」
「ついでに温泉で汗を流して帰れば楽しめるでしょ♪千円かちょっと超えるぐらいだし」
「ふぅ……まあいいか。それぐらいならな。じゃ、行くか」
由紀が先行して、洋平が後から着いていく形で2人は自転車を漕ぎ出した。目指すは大宮。
ちょっとした旅行の始まりだ。

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