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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 4




「さてと……ここなら邪魔にならないな。それにしても災難だったな。あんな時は大声で助けを求めないと」
「その……怖くて声が出せなくて。あっ、ごめんなさい。自己紹介してなくて。私、2−Aの斉藤 絵美」
「あぁ、マトモには紹介してねぇか。俺は2−Dの魚崎 洋平。ってコッチに来たくれぇだから知ってるか。ならまぁ、大泉商店街の魚崎商店って魚屋分かるかな?俺の家な、あそこなんだよ」
「そうなんですか? じゃぁ今度何か買いに行きますね。あの、本当に今朝はありがとうございました。私、本当に怖くて……助かりました。それに私のせいで学校に遅れてしまいましたし」
「だから、いいって。そんな申し訳なさそうにしなくても。俺が気になって勝手にやった事だし」
階段の踊り場で、壁に背を預けながら洋平と絵美は会話を重ねていった。



「っと、もうこんな時間か。そろそろ帰らねぇと親父がうるせぇんだよなぁ。腹も減ってきたし」
「あっ、私こそごめんなさい。こんなに長々と」
話を切り上げる素振りとともに、背を預けていた壁から身体を起こす。
「あの……」
その洋平の制服を絵美は指先だけで摘んで引っ張る。
「んっ?どうした?」
「また、会えますか?」
上目遣いでたずねる絵美。
「会えるも何も同じ学年だからいつでも会えるだろ?休み時間なんかに来りゃいいんだし」
普通の男なら萌えて落ちるようなシチュエーションだが、生憎洋平はその雰囲気を読まずに平然と返した。
「そんじゃあな」
別れの挨拶をして、洋平は階段を下りる。
「魚崎 洋平くん……」
無意識に洋平の名前を呟く。親切で優しそうで頼りになりそうな人。それが絵美にとって洋平の第一印象であった。




バスでの痴漢騒ぎから数日が経った。
洋平はいつものように朝早くから父親に叩き起こされて血臭と魚臭塗れになりながら魚を捌き、その臭いを取るのに悪戦苦闘しつつの学校生活が続く。

今日は身体測定の日だ。
女子は一昨日辺りから体重を減らそうと食事量を減らしたり、少しでも綺麗な測定結果を出そうとあれこれ努力している。
男子でも最近は腹周りなどを気にする者が増えた。

洋平は特に何も気にしていないので、平然と構えていたが彼の知らないところ、それもすぐ近くである策動が行われていた。
他でもない、女子の着替えや測定の覗き、あわよくば測定結果の入手をも狙って一部男子が動いているのだ。

「お前誰がいい?」
「そりゃ望ちゃんだろ。」
「TVで見る望ちゃんって結構スタイルいいよな。」

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