PiPi's World 投稿小説

パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 1
 3
の最後へ

パニックスクール 3

痴漢はと言うと、停留所に止まる度に降りていく人達が痴漢へ侮蔑と冷たい視線を向けられ、さながら社会的な意味での生き地獄を味わっていたようだ。
「次は北岡警察署前」
車内アナウンスが目的の停留所を告げる。学校へ遅れるのは、まぁ警察から学校に連絡を入れてもらえば大丈夫だろう、と考えながら声を掛ける。
「おっさん、定期券どこにしまってる?」
「ズボンの左側のポケットだ。悪いが手を離してくれんか?取り出せない」
「悪いけど、それはできねぇな。離した途端に逃げられちゃたまらんし。運転手さん、悪いけど取って確かめてくれません?」
そういって痴漢の男を右に向かせて運転手に近づけさせる。運転手は言われた通り、ポケットから取り出して定期券を確認する。
「はい、確かに」
続いて、洋平も制服のズボンに入っていた財布を取り出し、定期券を見せる。女子生徒もつづく。
停留所にはバス会社から既に連絡が行っていたのか警官が来ていた。
警察署で状況を説明し学校へ連絡をいれてもらい、被害の届けなどを済ませると、洋平と女子生徒は遅れての登校となった。




「おーい、魚崎。お客さんだぞー」
教室は始業式を終え、ホームルームで連絡事項も担任の口から伝えられると解散となっていた。
男子生徒と談笑に興じていた洋平に教室の入り口からそう声が掛かる。
洋平とともに振り向いた周りの生徒は、そのお客さんの可愛らしい容姿と胸の大きさに目を奪われていた。
「ん?およ、あんたは今朝の」
「ちゃんとお礼言ってなかったから。あの……今朝はありがとうございます」
「いいって別に。災難だったな」
気が弱いのだろうか、少しおどおどとした声で礼を述べる。
「魚崎〜、軟派か?この野郎」
「馬鹿言うなって。今朝ちょっとゴタゴタとしただけだって」
「いかにも何でもありませんって面で、点数稼ぎやがって」
「うるせぇよ」
男子生徒たちが冷やかしてくる。女子が男子を訪ねると言ったイベントで勝手に結び付けてしまうのはある種の娯楽といえるだろう。
恋愛沙汰に興味を示すこの年頃ならでは事。
「わりぃ、ここじゃ邪魔になるし、うるせぇから場所変えよう」
「わかりました」
そう言って洋平は親指で着いて来いとジェスチャーする。そのまま二人連れ立ってなるたけ喧騒が少ない場所へと移動した。

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す