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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 30

尤も、玄太郎としてはこの店……魚崎商店を洋平に継いで欲しいから朝の仕込をやらせたり、こうして卸売市場の雰囲気を感じて勉強してもらおうとしての事だ。
部屋に戻った洋平は寝不足と言う事もあって布団に飛び込むなりあっさりと眠りに落ちた。
さて、洋平が心地よい夢の世界に行っている間に玄太郎は店を開けて、営業を始めた。
「さあ、いらっしゃい!!いらっしゃい!!朝と昼に焼き魚!!夜には豪勢にお刺身でもどうですかー!!」
威勢の良い声を上げて一人でも多くの客に商品を買ってもらおうとアピールする。
「奥さん、今の時期はメバルが旬よ!!この際だから買っていかねぇか?」
「そうね……そうしようかしら」
少し迷った中年ぐらいのおばさんが買う事と決めた。
「あいよ!!毎度あり!!」
手際よく、玄太郎はメバルを手にとってプラスチックの容器に氷とメバルを詰めて袋に入れて渡す。
商品と引き換えに代金を受け取ると店の奥にあるレジに代金を入れる。
「いらっしゃい!!」
「おはようございます。魚崎君居ますか?」
お客と思って挨拶をした玄太郎だが、どうやら買い物ではないようだ。魚崎商店に訪れたのは由紀。
暇なので洋平も誘ってどこかに出かけようと尋ねてきたのだ。
「ああ、馬鹿息子なら部屋に居るぞ。なんなら上がるかい?嬢ちゃん」
「構わないんですか?」
「別にいいぜ。なんならついでに叩き起こしてやってくれ。時間も時間だしな」
悪戯を思いついた子供のようにニヤリと笑う玄太郎に由紀はこの誘いに乗った。
せっかくだし、洋平の寝顔を拝見するのも悪くは無いと打算もあってだ。
トントントントン……
「フンフフ〜ン」
上機嫌で鼻歌を歌いながら階段を上がる由紀。
ガチャ
そっと戸を開け洋平の寝顔を見る。
「ふふふ、結構可愛い寝顔ね……」
由紀は枕元に座り洋平の寝顔を堪能する。
どれくらい洋平の顔を眺めていただろうか、由紀は不意に立ち上がり、後ずさりする。そして助走をつけると
「え〜いっ!!」
洋平の体の上にダイブする。
どんっ!

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