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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 22

「くぅ〜、やっぱ仕事の後のビールは最高だねぇ〜」
コップの中のビールを一気に煽り、飲み干した玄太郎は疲れが吹き飛ぶような事を言う。
「ごっそさん」
食事を終えた洋平は食器を重ねて、台所に持っていく。スポンジに洗剤を掛け、食べ終わった食器を磨いて、洗い流す。
一般的に普及している自動食器乾燥機だが、ここ魚崎家はあいにくそんな物はなかった。
昔ながらの自然乾燥だ。長年、玄太郎と2人でやっていただけあって、慣れた手付きだ。
ほどなくして奄美も食べ終わって、食器を持ってくる。
「母さん、そこに置いてて。こっちで洗うから」
「あら、いいわよ。母さんがやっておくわ」
「あのなぁ、母さん。幾ら調子がいいからってあまり無茶するなよ。ただでさえ自覚ないんだから」
と呆れた風に洋平が奄美を嗜める。
「そうだぞー。台所は洋平に任せておまえはゆっくり休んどけって」
「親父は食い終わった食器ぐらい持ってこい!!いっつもそのまんまだろうが!!片す方の身にもなれよ!!」
赤ら顔で煽る玄太郎に洋平は、がぁーと咆えた。どうやら、玄太郎は程よく酔っているようだった。


翌朝。
「おーはよ♪」
声を掛けられた洋平は教室に向かう途中で後ろから抱きつかれて振り向いた。
「山根……頼むから人前で抱きつくなよ。それとおはよう」
「いいじゃない。軽いスキンシップなんだし、役得と思っておけば♪」
「役得だろうがなんだろうが、こっちは恥ずかしいんだよ!!」
照れ隠しに洋平はツッコミを入れる。その洋平の背中には自己主張する二つの膨らみが潰れる様に押し付けられている。
いつものからかいなので本能が鎌首をもたげるなんて言う事はない。
だが、洋平とて男。異性に興味があるだけに理性が揺らぐ。ついでに男子からの嫉妬の視線がちくちくと痛い。
くいくいっと手を引っ張られて右隣を見ると
「おはよう」
いつの間にいたのか里奈が挨拶をしてくる。手をちゃっかり繋いできたのは確信していたからか?
しかし、洋平は単に甘えてきているだけとしか捕らえてない。
「ああ、おはよう河端。それといい加減降りろ、山根。重い」
里奈に挨拶を返しつつ、遠慮もデリカシーも無くさらりと乙女に取っての禁句を洋平は口にする。
「ふーん、そんな事言うんだ。それなら……うりゃ!!」
お仕置きとばかりに、洋平を抱きしめてますます密着する由紀。
というより、チョークスリーパー気味に首が極まりかかっていた。

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