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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 2

片足飛びに手を差込み、靴を左右共に直しながら時間を確認する。バスの発車の時間はかなりギリギリであった。
「くっそぉー!!あのクソ親父!!朝っぱらからなんつー量を押し付けてくれたんだ!! マジ恨むぞ!!」
全力疾走でバス停を目指す洋平。左に曲がり大通りに出て右、人混みの中を走り抜ける。時々ぶつかっては謝りながらもバス停を目指す。
後ろから定刻通りにバスが迫る。洋平の横を過ぎ、目前のバス停で待っていた人たちが乗り込んでいく。
「間に合えー!!」
最後の人が乗り込んだ直後、転がり込むように洋平も足音を荒くバスに乗り込む。と同時に扉がしまる。肩で息をし呼吸を整えて、ガード棒に掴まる。
バスが停まるたびに、混雑具合がが酷くなっていく。学校は駅手前にあり、途中で降りる学生達と駅に向かうサラリーマンで、大抵は酷い込みようになる。
「やぁ……やめて……」
エンジンの豪快な音が響きザワザワしている車内で洋平の耳に微かに拒絶の言葉を捕らえた。気のせいだと思って聞き流そうとしたが……
「いやぁ……触らないでぇ……誰か、助けてぇ」
再び届いた拒絶と助けを求める声。声が小さくて誰も気付いてないようだ。
声の方向に視線を向けると同じ学校の女子生徒が、視界から隠されるように通路の隅へと押しやられ後ろから痴漢に胸をもみしだかれていた。
「おいおい、マジですか。どこぞのエロゲーな展開じゃあるまいし。ったく、シャレになってねぇな。見た以上は見過ごす訳にもいかねぇしな」
混雑している中を謝りながら通してもらい、痴漢に近づく。痴漢は女子生徒の豊満な胸に夢中で気が付いていないようだ。
「おい、おっさん。それ以上は止めとけよ。というか、やらせねぇけどよ」
手が届く所まで近づいた洋平は夢中になっている痴漢の腕をおもむろに掴む。二の腕を掴まれた男は手加減無しの洋平の握力に悲鳴を上げる。
「いたた!!何をする、離したまえ!!暴行罪で訴えるぞ!!」
「訴えられるのならどうぞ。その際には警察になんでこういう事になっているのか、しっかり丁寧に事細やかに教えてやるよ。この変態痴漢野郎。あっ、君も安心している所悪いけど、一緒に来てくれ。被害者の君から事情説明してもらいたいし」
犯人の首筋に手を添えて、抵抗すればその馬鹿力で握り締めると意図を匂わせて睨みを利かす。そして、そのままバスの先頭まで強制的に移動させた。
「運転手さん、警察は次のバス停の近くにありましたっけ?痴漢捕まえたんですけど 」
「三つ先の停留所になりますね……」
「わかりました、ありがとう」
教えてくれた運転手さんに了解と感謝の言葉を述べつつ、警察前の停留所を待つ。女子生徒の方も安心したかのように後ろにいた。

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