PiPi's World 投稿小説

楽恋鉄路旅情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 5
 7
の最後へ

楽恋鉄路旅情 7

「あの三角のシールよね?」
「あれはひどかった。」
ゴゴゴゴ・・・
「あ、貨物だ。しかも81」
「本当ね。すごい色ね」
「最近EF510に押されてるとか・・・」
「まあ古いからしかたないわね。」
きたぐにがくるのが6時20分。あと10分位なのでそろそろ移動しようと思う。とりあえず頭まで移動するが、自由席が後ろの3両なのでちょっと遠い。まぁ車内を歩くとしよう。

ー5分後ー
きたぐには時間通りに到着した。
「583はやっぱり大きいね」
「そうね。限界ギリギリって感じ」
「写真撮るよ。」
といって僕はカメラを構えた。

 きたぐには思ったより空いていた。寝台車はまあまあの埋まりようだったが、グリーンはガラガラで自由席は半分位が埋まっていた。夜行列車で座席車がついている例は今では珍しい。
とりあえず自由席のボックスを見つけたので座る事にした。583系の座席は大きなボックスシートなので座り心地がいい。何より、座席が寝台になるのが面白い。
荷物を置くと彼女はふらふらとどこかへ行ってしまったのでしばらく外をみている事にした。犀潟を過ぎた列車はほくほく線の分岐を後目に北陸本線を海沿いに走る。
車窓からは日本海の荒波が見える。この区間は比較的海に近いので景色は綺麗だ。
しかしさっき海辺でみた彼女の横顔を思い出すと体中がウズウズする。可愛すぎだ。反則だよ。
「どうしたの?」
「ワッ!びっくりした。いゃ、なんでもないよ。ははは。」
「怪しいわね。また卑猥なことでも考えてたのかしら?」
「なんでそうなる!」
「女の勘ね。」
当たりです。大当たり。怖いですよお姉さま。とりあえず話題をそらそう。
「所でさぁ、食パン電車もそろそろだよね。」
「そうね。元はこの車両と同じだし。」
食パン電車とは583系または581系を短編成化改造して、主に交流区間のローカル輸送を担う2〜3両の電車の事である。中間車に新設された運転台の形状が食パンみたいだということから食パン電車などと呼ばれる電車だ。九州や東北の食パン電車は早くになくなってしまったが北陸の食パン電車は健在で、60HZ交直両用の急行形車両などとともに現在も国鉄型電車の王国を形成している。
しかしそれらの車両も北陸新幹線の開業と共に消えていくのだろう。
いま僕らが乗っている急行「きたぐに」や先ほどの急行「能登」も新幹線開業でなくなる運命にあるだろう。新幹線が果たして本当に地元の利益になるのか?もう一度ゆっくり考えてもらいたい所である。
「ねぇ、直江津から信越線になったのよね?」
「そうじゃないのかなあ?」
「これで信越線は完乗したわ!残るは横軽ね。」
「そのうちいきたいなぁ・・・行くんだったら臨時列車で行きたいな。」
「そうね。頑張ってね。」
ームギュッー 
「反則だよ。それ。」
「あら、嫌ならやめるけど?」
「いいえ!全然。」
「素直でよろしい。」

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す